旅館やホテルで使われている浴衣は、基本的にオーダーメイドです。
それぞれ旅館やホテル毎に、名前を入れたり独自の柄を使ったりしています。
ですがオリジナルの浴衣を作るには、まず最初にデザインを起こし、デザインが決まったら型の製作。時間もお金もかかります。
「すみません、オリジナルの浴衣が欲しいのですが、1カ月くらいでできますか?」
お客様からの問い合わせです。
うーん、デザインを起こすのに10日。それからOKをもらって型を作りだしても、型の出来上がりまでにさらに10日かかります。
「ええ~無理ですか・・・何とかならないですか?」
じゃあ、定番在庫品の浴衣の型を使い、色を変えるのはどうでしょうか。
それでしたら納期的に大丈夫です。
「了解しました。ではホームページを拝見し、柄を選びます。」
しばらくしてお客様が選んできた浴衣は、「折り鶴柄」の小豆色。
「この浴衣の柄が気に入りました。色もこのままで結構です♪」
「枚数は100枚です。大中小それぞれ欲しいのですが・・・」
えっ・・・・
折り鶴柄の浴衣の特徴は、サイズによって色が異なること。
一目でサイズが判るように色を変えています。
ですので同じ色で大中小のサイズは揃いません。
100枚の注文でしたら、新たに染めて作った方が安いです。
しかも新たに作ればサイズも好きなように作り分けられます。
ついでに型がありますので、納期も短縮できます。
「あ、そうゆうこと(新たに作ること)もできるんですね。ではお願いいたします。」
納期が限られていますので、生地と染めの手配を先に行います。
その後で仕立寸法、肩あて、敷きあてなど仕様の確認をします。
ところで別注で生地から作る場合、100枚きっちりにはできません。
生地不良個所や身丈などで、大体1割出来上がり枚数が前後します。
その場合、サイズのどれかで数の調整をします。
「そうなんですね。では一番多い”中”サイズで調整をお願いします。」
業務用の浴衣は、サイズの違いは身丈の長さだけ。
身巾も袖も、他の所の寸法は全て同じです。
生地の染まり上がりの日にちに合わせ、縫製屋さんの都合を調整し、生地が上がった当日に裁断。翌日から縫製に入るように調整しました。
その結果・・・・
最終納期の3日前に完成!!
心配していた枚数も、5枚オーバーしただけ。
105枚の完成でした。(結局使う物ですので5枚くらいの余分は買い取ってもらえます)
最終納期よりも早く出来ましたので、お客様もその分余裕をもってセッティング出来た模様です。
その後、お話を聞いてみたところ、今まで使用していた浴衣よりも着心地が良く、見栄えも良く泊まられるお客様に大好評だったみたいです。
お客様様の喜んでいただく顔が見られて、とてもよかったです。