「ドラマの旅館シーンで使いたいのですが、そちらでは旅館浴衣のレンタルはやってないのでしょうか?」
残念ですが弊社ではレンタルはやっておりません。
と言うのも、一度着てしまうとそれはもう中古品になってしまい、商品としての価値は下がってしまうからです。
しかし色々とお話しを聞いてみると、旅館のシーンで親子で着たい、しかも柄を合わせたいとの事。
通常なら定番品の中で選んでいただくのですが、大人用と子供用の浴衣はそれぞれ柄が違います。
じゃあ無いのなら作りましょうか。
「大人用1枚、子供用1枚だけですが、それでもつくれます?」
在庫生地の中から選んでいただくことになりますので、思ったような柄があるかはわかりませんが、1枚でもお作り出来ます。
ということで、まずは生地から選んでいただくことになりました。
本来、旅館浴衣は生地を作ればその生地全てを浴衣に仕立てます。
ですので生地が余る事は滅多にありません。
でも様々な事情で生地が余ってしまう事があります。
その生地の中のさらに名前やマークが入っていない生地を選び、写真をお送りしました。
上記の中から選んだのは、ベージュに松葉と松ぼっくり柄。
これで良いのか、間違いないよう生地の端を郵送して確認いたします。
生地が決まれば後は仕立て。
通常ですと生地の縮みを考えて大きめに作るのですが、今回は撮影用なので最初からちょうど良い大きさに仕立てます。
俳優さんの身長を聞き、そこから28cmを引いて身丈を出します。
肩あて、敷き当てなどの細かな仕様はこちらから提案します。
「ところで帯も欲しいのですが・・・・」
帯ですか。使いたい色はあります?
「これも大人用と子供用を合わせたくって。あと緑とかいいかなぁと思います。」
ではこの帯はどうでしょうか。
「あ、これで良いです。これをそれぞれ1本ずつください。」
帯は定番在庫品の中から選んでいただいたので、すぐに手配できます。
浴衣の裁断も終わり(1枚ずつなら社内で裁断します)、縫製に回します。
通常縫っている物の中に混ぜてもらい、縫製も早めに上げてもらいました。
実はこのお話し、生地が決定してから納期まで1週間ありませんでした。
撮影日が決まっている中、中々生地が決まらずかなりドキドキいたしました。
でも無事に浴衣が出来上がり、撮影日にも間に合い、本当にほっとした覚えがあります。
しばらくして注文を下さったスタイリストの方から連絡がありました。
NHKのドラマ10
「さよなら私」:http://www.nhk.or.jp/drama10/sayonara/index.html
なろほど、このドラマだったのですね。
後日、友人が画像を送ってくれました。
まさしく、この浴衣です。うわー、嬉しいなぁ。
このように扱っていただき、本当にありがとうございます。