徳川家康公顕彰四百年 陣羽織

地元浜松市商工会議所から電話が入りました。

何か講座の申し込みか、融資の営業かな、と思ったところ、

「御社では、オリジナルの陣羽織を作ることはできますか?」


頭の中で完全に営業と思っていたため、すぐにきちんと答えられなかったのは内緒の話。


で、話を聞くと

来年は徳川家康公顕彰四百年記念の年で、色々な所で行われる時に着る陣羽織が欲しいとの事。

でも陣羽織って言っても、旅館で使う簡易な物から鎧の上に着る本格的な物まで様々です。


「えっと、他の自治体で作った物があるので、それを見本にしていただければ・・」

では、その見本を見せてください、今から行きますので。



結局、最初の電話から1時間後には担当者の前で陣羽織を見ながら話をしていました。




なるほど、この陣羽織、裏地が染まっていません。

となると”防染”で白抜きして作っています。

生地は天竺木綿でしょうか。

各パーツ毎に染め抜いた後、縫い合わせて作られています。


これは法被など和装専門の所で作った物で、価格もかなり良い物です。


「すみませんが、そんなに予算が無いのでもっと安くできませんでしょうか?あと枚数は20~30枚くらいで・・・・」


うーん、じゃあ、カラーのガウンの生地で形を作り、白抜きでは無くプリントで文字を入れたらどうでしょうか?そうすれば価格も納期も抑えられますが。


「ではその線でお願いします。




生地の選定と縫製の見積りを出します。


見本と似たような生地を三種類提案しました。

生地見本帳を見ていただき、生地を選んでいただきます。

が、今は中々繊維産業には厳しい時です。全ての色が在庫として有るわけではありません。


生地を選んでいただいた後は、色の候補を二、三選んでいただき、そのあと生地問屋さんに生地の在庫を確認しました。



生地と縫製工賃、プリント工賃がでれば、正式に見積りが出せます。

商工会議所も公的な機関であり、正式な見積りの書式があり、宛名も指定された物があります。

宛名や書式、印鑑の種類と数を聞きながら、まず見積書の提出です。

途中、提出先等も変わり、見積書だけでも3~5通作りなおしましたが、これはこうゆう物です。

とにかくきちんと通る物を作るのが大切。

さくっと作って、正式に製作がGOとなりました。



生地を準備するのは、生地専門の問屋さんから購入してきます。

生地専門の問屋さんと行っても、今回は業務用のガウン生地専門の問屋さんからです。

間違っても浴衣生地専門や、織り生地専門、アパレル専門の問屋さんでは扱っておりません。


問屋さんから購入する単位は1反です。
ガウン生地の場合、108cm巾×約55m。

今回、製作枚数はお願いして生地を取りきった枚数でお願いしました。

と言っても、希望枚数よりも1割ほどの増減で済みましたが。



雰囲気的には見本品と同じ感じです。

比べてしまうと手間のかかった分だけ見本品の方が良いのですが、今回作った陣羽織は1年限りの使用と言う事ですし、予算に納めららた事ですし。


「おおっ!いい感じですね。ありがとうございますっ!」


これから1年イベントでこの陣羽織を見る事になります。

業務用の製品を作っている職人さんは、自分たちが関わった商品を目にする事ってあまりありませんが、この陣羽織はいやがおうにも目に飛び込んでくると思います。

職人さん達も、どこで見る事ができるのか、とても楽しみにしていました。