旅館浴衣といえば、筒袖が特徴の一つです。
本仕立ての浴衣の袖は袂があるのが当然ですが、旅館浴衣は袂がありません。
でも、これにもきちんとした理由があります。
単純に、仕立が楽とか生地の要尺が少なくなる・・もちろんそれもありますが、一番の理由は洗濯の時に水切れが良いということ。
旅館浴衣は、毎日洗濯をして使われる浴衣です。
いろいろな人が寝間着として着るものですので、洗濯は念入りに行われます。
その際、きちんと汚れを含んだ水がササッと出て行くには、この筒袖が一番です。
旅館浴衣の洗濯は、基本的に専門のクリーニング店で行われます。
大量の旅館浴衣を一度に洗濯し、圧着式の自動アイロン・たたみ機にて仕上げていきます。
もし袂がある浴衣ですと、袂にゴミやホコリが溜まります。
また圧着式の自動アイロン・たたみ機で仕上げる時、空気が袂に溜まって縫い目が弾けてしまう可能性があります。
「旅館浴衣」というと、どうしても本仕立ての浴衣の簡易版、偽物、などあまり良くないイメージが付きますので、本仕立てに近い見た目の仕立にしたがりますが元々使う目的が違う物ですので、それぞれにあった仕立て方をするべきだと思います。