本仕立ての浴衣の伝統的な染方法は、注染(ちゅうせん)です。
注染は、大阪、浜松、東京(江戸)の三ヶ所が、有名なところです。注染は、一つの型で多色染めができる、明治中期に発明された染め方です。
注染は、蛇腹状に生地を折りたたみながら糊を生地に乗せていき、上から染料を注いで染めます。
注染のデザインのポイントは、この生地を蛇腹状に折りたたむ点です。
折り目を境に、デザインは鏡で写したように逆になります。
上の生地は、弊社で昔失敗した生地です。
もちろん、お客様にはデザインを起こし直し、キチンとしたものをお納めいたしました。
このデザインは、文字・柄が一方方向に傾いています。
生地を開いてみます。
何となくですが、染めのときの折り目で鏡で写したような逆の文字になっているのがわかるでしょうか?
完全に開いてみると、失敗となった原因がはっきりわかります。
デザインが折り目で逆になっています。
傾きも逆になっています。
これでは仕立てた時におかしなデザインとなってしまいます。
これを防ぐために、注染のデザインは、折り目で逆になってもおかしくないようなデザインにします。また文字を入れる時には、必ず逆になっている文字を入れるようにします。
昔の人は、文字が逆になっている=注染で染めた本格的な浴衣だな、という判断をしたそうです。
ちなみに、弊社で作った浴衣のデザインですが・・・
こんな感じで、生地を広げたときのデザイン図も付けて見ていただきました。
作り方(染め方)毎にいろいろな規制があるのはめんどくさいと感じるかもしれませんが、それもまた面白みの一つです。
デザインに関しても、わからないことがあれば、どんどん聞いていただければありがたく思います。