基本的に浴衣は、同じ柄が連続して続く総柄のデザインです。
ですが、着物のように決まった場所に決まった柄が出てくるデザインの浴衣もあります。「絵羽浴衣」と言い、昔は白い浴衣に直接絵師が絵を書いたとのこと。今では、それぞれのパーツ毎に生地を染め、手縫いで柄合わせをして作られています。
「絵羽浴衣」は主に踊り用の浴衣として作られ、使われています。
「伝統的な地域の踊りが復活したので、その踊り用の浴衣を作っていただきたいのですが・・・」
はい、もちろんお作りしますが、どんな浴衣でしょうか。画像でも構いませんので、一度見せていただけませんでしょうか?
「わかりました、現物がありますので、それを送ります。」
送っていただいた浴衣を拝見すると、踊り用の絵羽浴衣。
絵羽浴衣は、一般的な浴衣よりも縫製の手間がかかりますし、生地もパーツごとに作らないといけないし、その分型も作らなければいけないために、一般的な浴衣と比べて高価になります。
「お送りした浴衣ですが、マジックで書いてある文字を追加してほしいのですが。」
・・・・こちら絵羽浴衣という浴衣になりますが、この通り作るとお客様が想像しているよりも高価な物になりますが、よろしいでしょうか?
「え、そればどうしてでしょうか?」
まず縫製が手縫いになります。丁寧に柄合わせをしなければいけませんから。
次にそれぞれのパーツごとに生地を作らないといけませんし、それに合わせて型代もかかってきます。
「了解です、でも大体どのくらいの金額になるか教えていただけませんでしょうか?」
今回のデザインの場合、型代は15万円くらい。
1着15000円弱くらい。
弊社で絵羽浴衣の場合、基本的には綿生地を使います。
また、染めはシルクスクリーンにて行います。
注染ですと精度が甘いために絵羽ができません。
今回、補助金を使って踊りを復活させるとのことで、見積もりもそれに合わせて制作します。
見積もりの形式など、公的なものの場合は別途に見積書もお作りいたします。
OKとなったら、まずはデザインから。
文字の書式を選んでいただき、それをデザインに当てはめます。
「デザイン、拝見しました。少し変更をお願いします。送った絵のように変えていただけませんでしょうか。」
できるだけお客様の希望に沿うようにいたします。
それほど大きな訂正箇所ではないため、すぐにデザインを訂正。
お客様に見ていただき、早速OKをいただきました。
今回のお話、当然今季のお祭りに使いたいわけで、デザインがOKとなりましたら、早急に製作にかかります。
どうしても絵羽浴衣は柄合わせをしないといけませんので、時間がかかってしまいます。
なんとか、なんとか生地も縫製も急いでもらい、できあがりにこぎつけました。
かなり良い浴衣ができあがりました。
やはり、白地に紺色は着た人がきれいに見えるデザインです。
伝統的な踊りの復活にお手伝いできたこと、とてもうれしく思いました。
岩屋踊り復活の記事
:http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20160921000039