旅館やホテルに宿泊したときに提供される浴衣の殆どが、業務用の洗濯機で洗濯されます。
旅館やホテルが自ら洗濯する場合もありますが、多くは専門の洗濯業者で洗濯をしてもらいます。専門の洗濯業者=リネンサプライ、なのですが、浴衣自体リネンサプライ業者からレンタルしている旅館・ホテルもたくさんあります。
業務用の洗濯機は、大体がドラム式。ドラム内で叩きつけるようにして汚れをとります。
大きな洗濯工場ですと、「連続式洗濯機:連洗」で洗います。これはドラム式洗濯機がたくさんくっついているようなもの。予洗用、本洗用、すすぎ用の洗濯槽がそれぞれ数個づつ付いていて、それぞれの工程が終わると次の洗濯槽に自動的に移っていきます。同時にたくさんの工程をこなすことができるため、非常に効率よく洗濯が出来ます。
洗濯が終わると、ドラム式では脱水まで一つの洗濯機内で終わります。
連洗では、別の脱水機にて圧力をかけて脱水します。
その後、小さな工場では人がローラー式のアイロンにて一つ一つ乾燥とタタミを行いますが、大きな工場ですと「浴衣タタミ機」にてタタミを行います。浴衣タタミ機は脱水の終わった浴衣を入れると、自動的に乾燥とタタミを行います。
以上のような工程で浴衣は仕上げられるのですが、一つ一つの工程で繊維にかかる力はとても大きく、旅館浴衣が耐久性を重視するのも仕方ありません。
特に最後の仕上げに使われる「浴衣タタミ機」は、浴衣自体へとても負担をかけます。圧力、ひっぱり、熱をかけるため、浴衣のダメージはとても大きな物となります。また浴衣タタミ機の仕上がりは、一見きれいに見えますが開いてみるとシワがとてもひどかったりします。
襟元のシワの寄りぐあいや裾のタタミ方。
たたまれた浴衣を一つ開いただけですが、こんな感じになっています。
基本的に着物や浴衣は、縫い目にそってタタミます。でも機械でたたむわけですから、最終的に形になっていれば良いため、縫い目はあまり関係ありません。
一枚一枚ロールで仕上げたほうが、きれいで丁寧ですが、その分コストもかかります。
浴衣タタミ機で仕上げを行えば、コストが安くすみます。
ただ、一枚一枚ロールで仕上げた場合、浴衣は長く持ちます。
浴衣タタミ機はそれほど長く持ちません。
耐久性に関して機械と手仕上げとどのくらいの差があるのかは一概に言えませんが、一枚一枚手で仕上げている工場では、10年以上浴衣が持っているところもあります。
どっちの仕上げをとるのか、それは洗濯を出す旅館やホテルのコストの問題もありますし、洗濯工場の手間もあります。
どちらが良いのかなんてそのケースごとによって違います。
ですが、旅館やホテルを経営している方には、このような違いが有ることを理解していただければと思います。