先日(10/6、7)と、東京日本橋で開催された「着物カーニバル」に行ってきました。
この「着物カーニバル」は、まだまだ敷居が高いと感じられてしまう和装を、ほらこんなに自由なんだよ、こんなに楽しいんだよ、という事を伝えるイベントです。
着物(反物)だけでなく、帯や履物、根付やツマミ細工などの小物類まで、あらゆる和装関係の商品が販売されていました。それらを見ていると、今まで着物は呉服屋さんで数十万円かけて買ってくるお金持ちの趣味、みたいなイメージが覆されます。
でもちょっと考えてみると、昔は日本人すべてが着物を着ていたわけで、その当時に皆が皆正絹の着物を着ていたのではなく、庶民は普段着用の着物を着ていたし、今だってみんな洋服を着ていると言っても皆が皆スーツを着ているのではなく、Tシャツだったりパーカーだったり、ジーンズ履いていたりと色々な洋服を着ており、当然昔だって今のTシャツ、パーカー、ジーンズに相当する着物があるのが当然です。
この「普段着としての着物からスーツに相当する着物まで幅広く見られるのが着物カーニバルかな」と思っております。
そして、その着物に合わせた小物類も当然いろいろとあるわけで、それらすべてが一つの場所で見られる「着物カーニバル」がとても楽しく、これが毎年足を運んでいる理由だったりします。
上記にも書いたように、着物にも普段着からおしゃれ着、フォーマルなものまで幅広く種類があります。
だけど着物に馴染みがない方は、着物=高級品(正絹のもの、お茶席で着るもの)といったイメージがあるようです。
馴染みがないから仕方がないのですが、洋服=スーツ、みたいな感じでしょうか。
最近、会社への問い合わせで「今までにない新しい素材で着物(浴衣)を作りたいのですが。」といったものが多くなってきました。
色々と話しを進めると、このような話をしてくる方の大半が着物(浴衣)を着たことがない、着物(浴衣)を持っていない方です。
着物=高級品(正絹)、といったイメージがあるから、「今までにない新しい素材で」という話をしてくるのですが、実際着物の世界に足を踏み入れてみると、本当に様々な素材で作った着物があります。
Rumi Rock :http://www.rumirock.com/
こちらのメーカーさんの他にも、色々なメーカーが色々な素材で着物を作っています。
多分、素材で見るとほぼすべての素材で着物は作られているのではないでしょうか。
正直、今更素材で新しいものを、と言っても二番煎じになってしまうのでは。
「他にはないものを」「新しいものを」と考えるデザイナーは多いと思います。特に生き馬の目を抜くアパレル業界では、当然の考え方ではないでしょうか。
でも、新しい他にはないものは、基礎がしっかりとしてからこそ生まれるのであって、基礎がなくて生まれたものはキワモノにしかなりません。キワモノはキワモノであり、受け入れられるものではありません。当然販売しても、採算がとれるものではありません。
上記の「Rumi rock」さんも、「gle縞」さんも、基礎がしっかりとあるから商品として成り立っています。
なので、はっきりしっかりと言いますが、着物や浴衣をデザインするデザイナーは、着物(浴衣)を着てからデザインしましょう。
自分の着物(浴衣)を、呉服屋さんでお誂えして、それを着てからデザインしましょう。
着物は奥が深いものです。未だに自分も何も知らない、わかっていない、と思うことが多々あります。
それだけ深い世界ですので、足を踏み入れず外から眺めただけで新しいものを作ろうとするのは、とても無理があります。
今、色々な生地で着物が作られていて、探せば必ず自分好みの物が見つかります。
自分好みの生地から、自分好みの着物を作れば、楽しく着物の事がわかってくると思います。
ぜひ、着物(浴衣)をデザインする方は、自分の着物を持って着てみましょう。