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旅館浴衣の生地

旅館やホテルで使われる寝間着仕立ての浴衣に使われている生地は、一般的には「綿100%」と「化繊30%と綿70%」の混紡生地です。

ですが、最近はポリエステル100%の生地も使われるようになって、本当に様々になっています。

 

 

弊社は数多くの旅館浴衣を作ってきていますが、それとは別に個人的に出張や旅行で旅館やホテルに泊まって出てきた数多くの浴衣を着てみてわかったことは、「綿100%の浴衣が一番気持ち良い」ということです。

 

 

いきなり不穏な発言をしてしまいましたが、これが正直な感想です。

 

 

旅館浴衣用 綿生地 30/20
旅館浴衣用 綿生地 30/20

旅館浴衣用に使われる綿生地ですが、一番多く使われているのが「30/20」と呼ばれる生地です。

これは、経糸30番手、緯糸20番手の糸で織られた平織り生地という意味です。

 

注染など本仕立て浴衣に使われているのは、30/30(経糸30番手、緯糸30番手)ですので、本仕立て用の生地よりも厚めになります。

(糸番手は数字が大きいほど糸が細くなります)

 

生地幅は、小巾(約36cm)二巾(約72cm)三巾(約108cm)となりますが、横幅が広くてもカットすればよいわけで、もっと広い生地でも作ることができます。

ですが浴衣を縫製する縫製屋さんの裁断台はそれほどおおきなものは無く、二巾以上の生地が乗せられる台を持つ縫製屋さんは少なくなります。

 

 

で、お客様が一番気になるコストの話。

 

生地幅が広くなればなるほど、生地単価は高くなります。

生地幅が広くなればなるほど、縫製代は高くなります。

 

なので、小巾生地で浴衣を作るのが一番安くなります。

 

 

また綿100%と化繊混紡、化繊生地の単価を比べると、やはり綿100%が安くなります。

 

なので、それらを踏まえると、「綿100% 小巾生地」の浴衣が最もコストが低い浴衣です。

 

 

和装用 ポリエステル100%生地
和装用 ポリエステル100%生地

コストが高い、化繊、化繊混紡生地をなぜ使うのか。

 

それは耐久性が綿100%の物よりも高いからです。

化繊はそれだけで高い耐久性があり、長く長く長く使えます。

化繊混紡生地でも、化繊100%の生地ほどではありませんが、長く使えます。

 

若干高価になっても、長く使えることを考えれば、最終的に安くなるという判断で使われています。

 

 

化繊100% 浴衣生地
化繊100% 浴衣生地

化繊は長く使えます。

ですが、着心地は良くありません。

 

はっきり言うと、化繊の生地を使うのは提供する側の理由です。

浴衣を着るお客様を考えると、綿生地一択です。

 

 

最近は化繊生地でも織り方を変えて、面ではなく線、もしくは点で着ている人の肌に触れるような生地を使っている物もあります。

また、特殊な加工でサラサラの肌触りの生地もあります。

 

でもそれを着て布団に入れば、線だ点だと言っても面になります。

 

 

 

えっと、言葉が悪いので意地悪言っているようになっていますが、言いたいことは泊った方々が心地よく過ごせるようにしましょう、という事だけです。

 

ちょっと考えれば、シャツだって「綿シャツ」とか「コットン」とかの方が着た時に気持ち良いじゃないですか。

最近はアレルギーを持っている人も多いですから、できれば肌に触れるものは天然素材にしたいじゃないですか。

 

なのに業務用の浴衣になると、化繊生地で良しとしてしまう・・・

 

 

 

どんな生地を使うかは、オーナー様が決める事ですが、できれば弊社の業務とかに関係なく、個人的に綿100%生地を使っていただけるとありがたく思います。

 

ちなみに私自身は化繊100%の浴衣だけでなく、化繊混紡生地の浴衣は着ません(使いません)。