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ディクセル方式顔料プリント

「ディクセル方式顔料プリント」とは、旅館浴衣専用のプリントです。

一般的なアパレル用のプリントとは違います。

 

この「ディクセル方式顔料プリント」が確実にできるのは、日本で三軒の工場だけ

(名古屋にある、とか京都にあるとか、色々な情報がありますが、調べてみたところ確実なのは三軒だけでした)

三軒とも静岡県浜松市にある工場です。

ちなみに名前を言うと、「武藤染工」「二橋染工」「遠織流通センター」です。

(この三軒は生地は仕入れていないので、プリントをお願いするなら生地を持ち込んでください、念のため)

 

 

 

旅館浴衣に求められているコト。

 

  1. 繰り返し洗濯をするので、湿摩擦への耐久性がある事。
  2. 不特定多数の人が着るので、洗濯の時に漂白剤、殺菌剤が使える事。
  3. 老若男女、誰が着てもおかしくないデザインである事。
  4. 着用する場所が屋内中心なので、屋内でもよく映える事。

 

ざっくりとですが、旅館浴衣には大体上記のような必須条件があります。

3、4はデザイン上の問題になるのですが、プリント方法に関わってくるのは、1、2番。

 

2番の問題は、ディクセルというわけではなく顔料プリントなら特に問題はありません。問題が出るのは染料プリントの場合なので、もちろんディクセル方式顔料プリントは大丈夫です。

(染料は化学反応で発色・定着するので、漂白剤などの化学薬品を使うと変色・脱色してしまいます)

 

ディクセル方式顔料プリントが一番力を発揮するのは、1番の湿摩擦への耐久性

一般の顔料とは違い、洗濯時に湿った状態で他の衣類とこすれるような時に、抜群の耐久性を発揮します。

 

 

 

上記の図のように、一般的な顔料プリントが繊維の上に乗っかっているだけに対し、ディクセル方式顔料プリントは繊維一つ一つにコーティングするような形で定着します。

 

このような状態でプリントするには、特殊な前処理が必要であり、専用の顔料、きちんと決まった後処理(ベーキング)があってこそ、高い耐久性が生まれます。

この一連の流れがあってからこその「ディクセル方式顔料プリント」なのです。

 

なので、生半可な知識の営業マンが言う、

「ディクセル顔料使っているから大丈夫」 っていうのは、全く違います。前処理も後処理もあってからこその耐久性です。

(ひどい人は「ディクセル染料で作っているから」なんて言いますが、もうすべてが違っていて、もう・・・・)

 

 

あと、ディクセル方式顔料プリントができるのは日本だけ。

中国などの海外ではできません。

 

何故って?

逆に聞きたいのですが、化学薬品の共産国への輸出って緩和されましたっけ?

 

 

 

あと、ディクセル方式顔料プリントの特徴は、高温にも強い事

 

以外に知られていませんが、中国製の旅館浴衣はアイロンがけが難しいのです。というのも高い温度ですと顔料が溶けてしまい、アイロンの裏にべったりと溶けた顔料が付いてしまいます。(弊社もこれでアイロンをダメにしました)

 

アイロンどころが、リネンサプライで使われている高温のローラーに入れると、ローラーに溶けた顔料がベッタリ。温度設定を間違えるとこんな事故も起こります。

作業効率を上げるには高い温度で一気に乾かしたいけれど、顔料が溶けるのが怖いから温度を下げざる得ない、といった事になります。

 

 

ところがディクセル方式顔料プリントでプリントされた浴衣は、かなり高い温度でも大丈夫。

安心して高温で作業できます。

(しかもディクセル方式顔料プリントの浴衣は、基本的に日本国内での縫製なので、仕立てもしっかりとしています。それもあって日本製の浴衣の方が作業効率が高くなります。)

 

 

 

昔、自分が駆け出しの営業マンだったころ、お客様(リネンサプライ)の希望で中国で格安の浴衣を作り、納品しました。

ところが、宿泊されたお客様が火照った体で浴衣を着てソファーに座ると浴衣の顔料が弱くなり、ソファーに顔料が付いてしまう事となりました。注文いただいたお客様からは「安い浴衣が欲しいと言ったが、色が落ちる浴衣とは言っていない。」と言われて、浴衣は作り直し。独り温泉宿に出向き、汚れたソファーを徹夜で洗いました。

 

 

 

何か一つ不具合があると、その対処は非常に大変です。

目先の安さで購入すると、不具合が起こる可能性も高くなります。

その不具合まで含めた価格の安さなら良いかもしれませんが、実際そこまで安くはありません。

 

日本製のディクセル方式顔料プリントを使ってほしいと思いますが、それ以前に正しい知識で不具合が出にくいようにするのが大切だと思います。