昨年末に地元の整理工場が小巾生地の扱いを止めました。
小巾生地というと、着物や浴衣等の和装の生地です。
簡単に言うと、呉服屋さんとかで積んである反物のことです。
染工場で生地を染めたとき、生地は1反ずつ分かれていません。10反とか12反とか続いていた方が加工の効率が上がりますから、もし分かれていてもつなぎ合わせて、長くしてから加工をします。
染めやプリントが終わった生地を、巾をそろえて、1反ずつ反物にするのが”整理”です。
昔は整理工場がたくさんありましたが数年前からは1軒だけになり、とうとうその整理工場も小巾生地の扱いを止める事となりました。
(広幅生地は今でも整理をやっています)
どんな生地も整理工程は必要です。
きちんと巾をそろえないと裁断・縫製ができません。簡単な整理(生地の巾出し)は染め工場でも行います。
ですが、1反ずつ反物にする工程は整理工場でないとできません。
今回、整理工場が小巾生地の扱いを止めると聞いて真っ先に頭に浮かんだのは、「相撲浴衣反物」です。
部屋や関取の名前の入った浴衣生地は、1反ずつ分けられて反物の形にします。
整理工場が小巾生地を扱わなくなったら、いったいどこで反物にすればよいのだろう、頭を悩ませていたら染工場の社長が手を挙げてくれました。
整理工場が閉鎖する前に小巾生地を反物にする機械を譲ってもらい、染工場にて反物に仕上げるようにする道筋がつきました。
弊社も出資して機械を買い取り、そのままでは使えないため鉄工場で改造。
鉄工場から上がってきた機械を使い、実際に巻き取りを行い反物に仕上げてみました。
うーん、見て頭で考えてみるのと実際に動かしてみるのじゃ全然違います。
延反部分への生地の通し方、太鼓への固定方法、実際にやってみないとわからない事だらけ。
工場の人たちを試行錯誤して動かしていきます。
やっていくうちにコツがわかってくるというか、段々と形になってきました。
これなら今までと同じレベルでできるようになったのかも。
とにかく反物ができることが確認できるようになりました。
今年の「相撲浴衣の反物」、これで安心して注文を受けることができます。
それに染工場で一貫して仕上げができれば、納期も短縮できます。
繊維関係の工場は、毎年何かしら減っていきます。
でも今回の反物への仕上げは何とかクリアできました。
ホント、良かったと思います。