弊社では、新しいデザインの旅館浴衣を作る際には、必ず染工場にて立ち会いをしています。
今回、プリント用の型が出来上がり工場にてプリントを行うとのことで、いつもどおりに行ってきました。
立ち会う理由は、新しいデザインは通常PC上で作り、それを紙に出力して色の確認をします。
染工場にもお客様に送った紙と同じものを渡し、それを基に色を作ります。紙に出した色と布に出した色はベースが違うため、同じ顔料をおいても違って見えます。
紙と布の違いをどこまで許容するのか、その判断を染工場の職人さんに任せるのはとても酷です。
また自分でも色の確認ができることもあり、それで立ち会いをしています。
顔料はある程度の量がないと色がきれいにできません。
基となる色見本(今回は紙に出力したもの)を見ながら顔料を調合します。
作った色を少し生地に付け乾燥させて色をみます。
この時点で、8~9割くらい色を確定させます。
ほぼ色が一致したら、今度は実際にプリントをします。
本番と同じ工程で色を乗せ、それで色が一致するのかを確認します。
大体この時点から自分も一緒に確認をしていきます。
もちろん、この時点でも色の変更がある場合もあります。
「もう少し黒味を強く」とか「もう少し明るめに」とか、だいぶ曖昧な感じの意見になりますが、職人さんはそれに答えてくれます。
色の変更があった場合は、もう一度試しで機械に通します。
出てきた生地をみて、それで良かったら本番となります。
旅館浴衣の場合、毎日洗濯をして使われるものですので、耐久性がとても重要になります。
耐久性が高く、漂白剤でも色落ちが少ないのが、旅館浴衣専用の「ディクセル方式顔料プリント」となります。
その「ディクセル方式顔料プリント」を行うためには、専用の前処理、専用顔料、専用の後処理が必要です。
今回、プリントしたのはロータリースクリーンという方式でのプリントです。
ロータリースクリーンの型は円周が64cmと大きく太いもので、その機械自体もとても大掛かりなものになります。
通常、工場にて立ち会いを行う会社はありません。
色見本を工場に渡して、あとはお任せするのが一般的です。
この間染工場の社長さんが言ってましたが、某会社の担当者が新人を挨拶に連れてきて、事務所で話が終わった後に「じゃあ工場を案内しますよ」と言ったら「急いでいるから結構です」と断られたそうです。
工場の社長さんは「せっかく工場まで来ているんだから、工場を見て作業を理解してほしいんですけどね・・・」
工程を見て理解することで産まれる新しいデザインもあります。
職人さんたちに直に話を聞くことで、できることできないことも判るようになります。
今回も立ち会いも無事に終わりました。
この後、後処理工程に入ります。
出来上がってくるのが、とても楽しみです。