旅館やホテルなどで使われている羽織や陣羽織用の生地のデザインを一覧にしてまとめました。
昔は旅館やホテルごとにオリジナルデザインの羽織をよく作りました。
以前から少しづつ撮りためてきた羽織の写真を、今回まとめて掲載することにいたしました。
新しく写真を撮るわけではないので、結構簡単にまとめられると思ったのですが、意外と数が多い・・・
1ページにまとめるつもりが、ページの容量をオーバーしてしまい、結局3ページに分けることとなりました。
デザイン集 1:https://www.ryokan-yukata.jp/haori-design-1/
デザイン集 2:https://www.ryokan-yukata.jp/haori-design-2/
デザイン集 3:https://www.ryokan-yukata.jp/haori-design-3/
昔は、羽織もオリジナルで作るところがたくさんありました。
「オリジナル浴衣」「オリジナル羽織」でそろえて作り、他の旅館と比べてウチの旅館は格好良いでしょ♪ みたいに、旅館街では各旅館競い合っていました。
今では「旅館用の羽織」というと紺無地だったりしますが、昔は色々と派手な柄の生地で羽織を作ったものです。
羽織とは元々防寒具です。
浴衣だけだと何となく心もとない、なので一枚上に羽織るものが欲しくて羽織を使います。
防寒具として、また業務用として使う為に汚れにくさを備えた生地を、ということで「ウール」生地がよく使われました。
ただ、汚れにくさは上にプリントなどで模様を付けられない事とイコールですので、昔の羽織は”織り柄”でデザインを作っています。
デザインも様々ですが、生地の織り方も色々あります。
ウール100%生地でも平織りだったり、綾織だったり、二重織りなんかもありますし、厚みを出したいんだったらアムンゼン織りとか。
また経糸、緯糸を単糸にするか双糸にするか、もしくは経緯のどちらかを単糸、どちらかを双糸にするのか。
さらにウール100%か、ウールとアクリルの混紡糸もあれば、ポリエステル100%と、このあたりはわかりやすいのですが、ウール80%のポリ20%とか、数%レーヨンを混ぜるとか、高価なものですとシルク混紡にするのか、とか、本当にいろいろな組み合わせがあります。
弊社ではこの道50年以上携わっている工場の社長さんに良くしていただいているので、その都度教えを請いながら案件を進めています。
この羽織の写真を掲載していて思い出したこと。
あるデザインスタジオから、某観光ホテルで羽織を新しくしたいとの話をいただきました。
「御社で扱っている茶羽織、すべての種類を1枚ずつ送ってくれませんか?」
いや、生地は作らないと無い物がほとんどです。どんなデザインを考えていますか?それに合わせてご提案しますよ。
「いえ、どんなデザインが必要かは言えません。何種類あるか知りませんが、全部送ってください。」
羽織の生地の種類は百種類以上あって、それを全て送るなんて不可能です。第一それだけの数の中から選ぶのは無理じゃないですか?
「どうしてこちらの要望に添えないのですか?他にも声をかけている会社はあるんですよ。オタクは協力してくれないんですか?」
他の会社に声をかけられているのでしたら、そちらでお願いします。
「せっかく売上になるかもしれない話を断るのですか?とにかくすべての羽織を送ってください。」
いやいやウチではご希望にそえませんので、お断りします。
「なんでそんな事をいうのですか?送ってくれれば良いじゃないですか。」
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という感じで、30分以上電話で話をしました。
実際はもっと酷い言われ方をしたのですが、売り手が断っているのに買い手が執着してくる、なんでしょう、この変なやり取りは。
結局デザインスタジをと言っても、イメージは沸かなかったからいろいろな羽織を並べて、コレッ!みたいに選びたかったんでしょう。
実際に百種類以上の羽織を並べたら、選択肢が多すぎて決まりません。
この話は3年ほど前の話。
そんな思い出に浸りながら、羽織の一覧が出来ました。
次は羽織の生地の切れを整理しなくては・・・