先日、浴衣問屋さんと話をしました。
その中で、今後の浴衣業界がどのようになってしまうのか、とても心配との話となりました。
浴衣業界とは、夏祭りや花火大会などに来ていく本仕立ての浴衣の業界です。
本来浴衣とは、着物と同じように呉服屋さんで生地を選び、仕立ててもらう物です。
ですが今ではプレタ浴衣(仕立て上がっている浴衣)を、中でも帯や草履が付いてセットで安く販売しているものを購入するのがメインとなっています。
このプレタ浴衣は、基本的に人件費の安い海外で作られます。
とは言っても、浴衣は洋服とは基本的な仕立て方が違いますので、ある程度経験のある決まったトコロでしか縫製できません。
御存知の通り、今年は新型コロナウィルス禍のため、イベントが軒並み中止となっています。
先にも書いたとおり、今はプレタ浴衣がメインの浴衣業界です。
プレタ浴衣を着る人は、どちらかと言えばあまり着物や浴衣に興味がなく、そのイベントのためだけに浴衣を購入する人が多いようです。ですので人によっては、毎年新しいプレタ浴衣を購入したりします。前年に購入した浴衣は捨ててしまうみたい。
簡単言うと、イベントに合わせたコスプレみたいな感じです。
で、今年はイベントがありません。
当然浴衣も売れません。実際に例年売れ始めている浴衣が今年は全然売れていません。
今年売り出すつもりで作った浴衣は、すでに小売店に納まっています。
当然、購入した店は売れないと困ります。
一年在庫して来年改めて売りに出すというやり方もありますが、とにかく値下げしてでも売りたい店も出てきます。
赤字でもなんでもとにかく現金に変えたい店が出てくれば、プレタ浴衣の値崩れが起きてしまいます。
一度値下がりした浴衣単価はなかなか元に戻せません。
今年たたき売りした浴衣と同じ柄の浴衣を来年売り出しても、もう正規の価格では販売できません。
プレタ浴衣の生産は、海外で行われます。
今年の生産分は終わっていますが、さて来年は?
当然今年の浴衣が売れ残っているのに、来年も同じように発注はできません。
海外の工場としては毎年きまった量の仕事があったのに、急に無くなったとなれば当然違う仕事を入れます。
浴衣の仕事って話を聞くと、発注が遅いため納期が厳しいそうです。
浴衣の代わりに入れた仕事が条件の良い仕事だったら、浴衣の仕事を改めて受ける事はなくなってしまいます。
だからといって、浴衣は洋服とは違い独特な作りですのですぐに他の工場で縫製できるものではありません。
海外で浴衣を縫う工場が無くなってしまう場合が考えられます。
浴衣の値崩れ、製造工場が無くなる可能性、もうね、どんなことになるのか想像がつきません。
浴衣の問屋さんと話をして出た結論も「なるようになる」だったりします。
今後の浴衣業界を考えると、非常に怖い状況です。
正直、目を覆いたくなっている自分がいます。