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旅館浴衣の小巾生地と広巾生地

旅館やホテルなどで使われる業務用の浴衣に使われる生地には、昔ながらの小巾の生地と広巾の生地があります。

 

小巾の生地は、36cm巾。

広巾の生地は、72cmと108cmの二種類。

 

見てわかるように、小巾生地が基準であり、その倍の巾が広巾の二巾生地(72cm巾)、三倍が三巾生地(108cm巾)になります。

 

 

生地は、基本的には綿100%ですが、広巾生地はTC30/70の物もあります。

 

綿:小巾、二巾、三巾

TC:二巾、三巾

 

※綿のTC生地は国内での生産が10年くらい前に終了しました。需要が少なかったため、再生産の予定はありません。

 

生地の価格ですが、巾が広くなるほど高くなります。

また、綿とTCを比べると綿の方が安くなります。

となると、一番安いのが、綿の小巾生地になります。

 

小巾生地と広巾生地の違いですが、一番大きく違うのは仕立てたときに背縫いがあるのが小巾、背縫いがないのが広巾になります。

 

 

旅館浴衣用 広巾生地
広巾(二巾)の生地
旅館浴衣用 小巾生地
小巾の生地

上記の通り、小巾の場合は二枚の生地を横に並べて背中部分を作りますが、もともと小巾生地の倍の巾のある広巾生地はそのままの巾で浴衣の背中部分を作ることが出来ます。

 

背中に縫い目が入らない利点は、背中の幅いっぱいのデザインが出来ることです。

小巾のデザインは、どうしても小さく繰り返しのデザインになってしまいます。ランダムにデザインが出るという面白さはありますが、どうしても大きなデザインは苦手になってしまいます。

 

 

広巾生地使用 旅館浴衣
広巾生地使用 旅館浴衣
小巾生地使用 旅館浴衣
小巾生地使用 旅館浴衣

以前、お問い合わせいただきました旅館さんで、「背縫いがあると寝ているときに縫い目が邪魔になるから広巾生地で」と言われたことがありますが、実際はそんなことは有りません。

 

また大手商社の営業マンが良く 「広巾生地は背縫いが無いから丈夫です」とも言っていますが、それも間違いです。

 

実際に着て寝てみれば判りますが、背縫いが邪魔で寝られない事はありません。

それと背縫いは業務用ミシンで二つ折りにして縫いますのでとても丈夫です。リネンサプライの会社で聞いてみればわかりますが、浴衣が破れるときに背縫いから破れる場合が多い、なんてことはありません。

 

 

なぜ「背縫いは寝るときに邪魔になる」とか「背縫いがあると破れやすい」なんて噂が出るのかと言うと、実はこの噂を広めたのは大手商社だったりします。

大手商社は海外で浴衣を作ることが多く、海外では小巾生地が手に入らないという点。それと国内で作る場合も、小巾生地が手に入らない場合が多いということがあり、広巾生地の優位性をでっち上げています。

 

実は小巾生地は広巾生地よりも生地単価が安く、さらにプリント単価も安く、仕立て工賃も安く上がります。

小巾生地を使うと、コスト的に優れた旅館浴衣が出来上がります。

ですが小巾生地を使えない大手商社が、小巾生地は駄目という噂を流しているのが本当のところです。

もちろん大手商社だけでなく、小さな問屋さんでも小巾生地がてにないらないトコロは、大手と同じように小巾生地をディスってたりします。

 

弊社ではきちんとルートを確立していますので、小巾生地は心配すること無く入ってきます。

 

 

 

もう一つ、浴衣でも着物でも和装品に共通することなのですが、縫い目は着たときの”骨”に相当します。

簡単言うと、きちんと縫い目があったほうが、線が出やすくキレイに着ることが出来ます。

 

 

小巾生地使用 旅館浴衣
背縫い有り 小巾生地
広巾生地使用 旅館浴衣
背縫い無し 広巾生地

何となくですが、広巾生地の浴衣の方がだらっと見えます。

これはフリー素材の写真からなのでまだキレイになっていますが、実際に宿泊して着続けているとその差は歴然としてきます。

 

 

本来、旅館浴衣も小巾生地で作るほうが、コストが抑えられ、着姿もキレイであり、また追加制作のときにもロットが少なくて済むという利点があります。

ですので、弊社では基本的には、綿の小巾生地での制作をオススメしています。

TCをご指定された時には二巾をオススメしています。

(他の条件もみて、広巾の方がコストを抑えられる場合だったら広巾をオススメしますが)

 

どんな浴衣を作りたいのか、ご希望がありましたらいろいろな条件を考えて幅広くご提案をいたします。

まずは弊社までご連絡ください。