最近、「鬼滅の刃」がブームで、登場人物たちがそれぞれ和柄の羽織を身に着けており、その中でも主人公の竈門炭治郎の羽織の市松模様が注目を集めています。
もともと市松模様は東京オリンピックのイメージにも使われるくらい、とても人気のある柄です。
オリジナル浴衣を希望されるお客様にも、昔から今でも要望が多いデザインの一つです。
よく希望される市松模様のパターンとして、「できるだけ大きく」と「正方形で」、「全面に」という点をよく言われます。
気持ちはわかります。
イメージもわかります。
けど、生地にプリントするには、型のサイズが有り、生地も巾があります。
「できるだけ大きい正方形」を考えると、型のサイズと生地巾の最大公約数になります。
旅館浴衣用の生地で見ると、36cm、72cm、108cmの巾になります。
プリント用の型は、今一般的なロータリースクリーン型の円周は64cm。
つまり、36cmと64cm、72cmと64cm、108cmと64cmとそれぞれの最大公約数が正方形の辺の長さとなります。
ちょっと計算してみるとわかるのですが、それほど大きな正方形はできません。
それでも大きなデザインにしたいとなると、長方形にするか、生地幅の外にはみ出させるか、しかありません。
(もちろん、全面にしない、という方法もあります)
実際に、手ぬぐいでは端の部分ははみ出させています。
上記の話は、旅館浴衣用の生地をつかって例えました。
本仕立て用の特岡の生地でも同じことが言えます。
本仕立て用の特岡生地は、39cm巾。
ロータリースクリーンでも出来ますが、フラットスクリーンでもプリントできます。
ロータリースクリーンの場合は、39cmと64cmの最大公約数。
フラットスクリーンの場合は、39cmと72cmの最大公約数。
意外と小さな正方形しか出来ないことに気が付くと思います。
なので先にも書いたように、生地幅の外にはみ出させるか、長方形にするか、のどちらかの方法になる事をご了承ください。
ちなみに、注染では市松模様は出来ません。
蛇腹状に折りたたんだ時、折り目の部分が市松模様だと出来ません。
注染の場合は、部分部分で使うしか有りません。
(デザイナーの腕の見せどころだと思います)