オリジナル柄の浴衣を注文される方にとって、浴衣の価格はとても重要なことだとわかります。
少しでも安く、といった気持ちもよくよくわかります。
ですが、浴衣を作る場合でも数量によって価格が変わることを承知していない方がたくさんいらっしゃいます。
簡単に言うと、「たくさん作れば安くなる」ということです。
じゃあどれだけ作れば安くなるの?ということになるのですが、浴衣自体それほど大量に流通している商品ではありません。
たくさん流通している商品であれば製造工程も専門でしっかりと確立されていますので、ある程度の量があれば安くなりますしある程度の量以上の量があれば、びっくりするほど安くなる場合もあります。
「はいはい、それはわかりました。じゃあ何枚あればぐっと安くなるの?」
イトーヨーカドーやイオンなどで売られている浴衣くらいの価格を希望されるのなら”万”の単位が必要です。
旅館やホテルなどで使われる浴衣でしたら、数千枚単位になります。
もちろんこれだけの数量だと国内では作ることが出来ませんので、海外で生産することになります。
海外で生産するということは、品質もそれなりになるということを了承していただきます。
お客様からのお問合せでも上記のような話になります。
「そんなにたくさんの数、無理に決まっているじゃん!」とキレて電話を切られる方もいらっしゃいます。
こちらとしては、数十枚の希望で数千枚、数万枚の価格と同じにしろと言われる方がちょっと・・なのですが。
元々「浴衣」はキモノの一つの分類で、日本独自の衣類です。
海外に製造を出すということは、海外の浴衣を見たことも着たこともない人たちに作らせるということです。
ある程度の量がないと、きちんと管理された工場の仕組みを作ることは無理です。
一方日本国内で作る場合は、当然浴衣を作る人は浴衣を知っているし、着たことがない人も居ますが季節になれば着る方もいらっしゃいます。ざっくりとした指示でも、量が少なっくても、間違いのないものが出てくる理由はここにあります。
でも日本人が作るわけですから、政府が決めた最低賃金に合わせた人件費が当然かかってきます。
当然出来上がってくる浴衣はそれなりの価格になります。
現在、旅館やホテルなどの宿泊施設に浴衣をレンタルしている「リネンサプライ」の影響力が少なくなっています。
そのため以前はレンタルでも、その旅館・ホテル専用のオリジナル柄の浴衣を製造して出していましたが、今では段々と難しくなってきているようです。
となると当然オリジナル浴衣を作る案件も少なくなり、プリント工場も仕事が少なくなり、以前は「最低ロット:48反から」と言っていたのが、1反でもプリントしますよ、となってきました。が、多くても少なくても同じ価格というわけではなく、少ないなら少ないなりのプリント価格で、多ければ多いなりのプリント価格で、となっております。
ちなみに、48反で大人用の浴衣が約60枚。84反で約100枚。
実際に見積を取ると、48反を境にプリント代が急に高くなります。
少ない数量をプリントしても、たくさんの数量をプリントしても、機械のセッティングや洗浄など工程は変わりません。
機械の洗浄やセッティングに約1時間かかるとすると(実際は違うけどわかりやすくすると)、当然浴衣1枚分にかかるコストが少ないと多くなり多いと小さくなることがわかります。
旅館やホテルだって、1日1組の時も1日50組の時も浴場の清掃や館内の清掃コストは変わりませんよね。
先日、オリジナルデザインの旅館浴衣のお問合せがありました。
最初は同じデザインで50枚の話が、途中から2デザインで25枚ずつというコトになりました。
当然価格は高くなります。
その見積価格を見た途端、連絡がぷっつり無くなりました。
前にも書きましたが、「たくさんつくれば安くなる」のです。
少なければ少ないほど高くなります。