ネットショップに「ウール生地 丹前」を掲載いたしました。
一枚の生地で、表と裏とで柄が違う”二重織り”の丹前です。
業務用として旅館やホテルで使われているものですので、家庭で使うものより耐久性があります。
Yahoo!ショッピング アウトレット
https://store.shopping.yahoo.co.jp/ryokan-yukata/a2552a5aa6a.html
価格は、1枚 4950円(税込み)
正直、むちゃくちゃ安いです。他のショップの丹前を見ても、だいたい1万円以上です。
なので”仕入れ”として買っても良いくらいの価格です。
でも、当然この価格には理由があります。
この丹前、閉鎖する予定の工場から「いくらでもいいから引き取って。捨てるとなると廃棄代が高くかかるから」と言われた物。
さらに、サイズがSサイズだけです。
一番の売れ筋は、Lサイズ。次にLLサイズ。その次がMサイズ・・・今回の丹前はSサイズ。
「Lサイズはありませんか?」とか「他のサイズはありませんか?」とか聞かれますが、全く有りません。
品質的にはとても良い商品。
でもサイズがSサイズのみだし、工場の在庫品です。だから、1枚4950円(税込み)なのです。
他のサイズだったら工場だって「いくらでも良いから引き取って」なんて言いません。
廃棄するものだからこの価格なのです。
どんな物でも価格には必ず理由があります。
相場から大きく外れた価格なら、それこそ大きな理由があるわけです。
現代はモノづくりに携わる人が少ない時代。
手間とか品質とかがわからない人がそこここにいる時代です。
この丹前を見て、オリジナルの丹前を数枚出来ないか問い合わせしてきた広告代理店の営業。
「えっ!オリジナルで作るとなるとそんなにたくさんの数が必要なんですか!それにそんなに高いんですか!! ネットショップで4950円って出てたんで、2千円くらいでできると思いました。」
若い営業でしたが、多分他の店をあたっているでしょう。どこかにある、安いウール丹前の店を探しているのでしょう。
だけど若い営業マンに勘違いさせてしまったのはこちらの責任。
相場を知らない人が相場から大きく外れた安いモノををみれば、その安い価格が相場だと思ってしまう可能性を考えなかったこちらの責任です。きっと上記の彼の中では、「ウール丹前は2、3千円のもの」という認識になっていて、その認識でこれからも生きていくのでしょう。
丹前と一緒に引き取った茶羽織。
こちらもウールの二重織りで、旅館・ホテルなどで使われる耐久性の高い商品です。
ウールの茶羽織は軽い割に暖かく、しかも耐久性があるので業務用として重宝されているものです。
こちらの茶羽織も特価で引き取ってきました。
ちょうど引き取って1週間した頃に、新しい旅館のオープンの話が来ました。
本当に親切心で、この茶羽織を勧めたトコロ、在庫分(30数枚)全て買い取ってくださいました。価格はぶっちゃけ約3,000円/枚ほど。かなり割安の価格です。相場の40%OFFくらい。オープンの時は色々と物入りですし、少しでも安くしたいところだと思います。
その時は、お客様も喜んでくれたし良かった良かった、と思っていたのですが、半年ほどたって茶羽織の追加の問い合わせがきました。
当然以前の在庫はなく、相場通りの価格の物しか有りません。
ですが最初に思いっきり安いものを知ってしまったため、相場通りの価格はとても高く感じて受け入れられなくなっています。
最初は良かれと思って安いものを出したのですがそれがお客様の相場となってしまい、その後の追加の場面で思ったような物が手に入らなくなって大変ストレスを感じることとなっています。
安易に安いものを提案することは、その人の価値観を崩してしまうことに繋がるということを知りました。
改めて、相場からかけ離れた価格には必ず理由があるということを理解してほしいと思います。