良くありがちな、オリジナル浴衣の駄目なパターンがあります。
着物を着る人が少なくなった昨今、浴衣のデザインを起こす人が今までに数回しか浴衣を着たことがない、もしくは自分の浴衣を持ていないといった、浴衣に馴染みがない場合が多くあります。
着物好きな方々は、段々と暖かくなってくると、今年はどんな浴衣を作ろうか考えます。
注染かな?プリントでも良い柄があるといいな?思いきって絞りで作ろうか、なんてワクワクしながら新作の浴衣を心待ちにします。
新作の反物が出てくると、その反物を身体に当ててどんな浴衣になるんだろうとイメージを膨らませていきます。
ですがワクワクしながら浴衣反物を身体に当てた経験の少ない人は、浴衣に対するイメージが湧きにくくなっているのではないでしょうか。
「こうゆうデザインの浴衣を作りたいんです!」とデザインを送ってくださるのは弊社としてもとてもありがたいのですが、その送ってくださったデザインが浴衣の平面図に柄を書き込んだものの場合、ほとんどが「絵羽浴衣」になってしまっています。
「絵羽浴衣」とは、踊りなどで使われるちょっと特殊な浴衣です。
裾なら裾、袖なら袖とデザインの出る場所が決まった浴衣です。
本来、浴衣ってとても気楽に着られる着物です。
それほど凝って作られるものでは有りません。今でいうところの「Tシャツ、短パン」くらいの気楽なものです。
ですので連続柄の反物から仕立てられるのがほとんどです。
ところが「絵羽浴衣」は、裾なら裾、袖なら袖といった具合にデザインの位置が決まっているので、それぞれパーツ毎に生地を作る必要があります。パーツ毎に出来上がったモノを柄合わせをして手縫いで縫い合わせる、と言った一般的な浴衣よりも手間のかかる物です。
「Tシャツ、短パン」くらいの気楽な着物にかける手間ではない、手間のかけ方が必要な浴衣です。
浴衣の平面図でデザインを送ってくる方のほとんどが、この手間のかかる絵羽浴衣のデザインを送ってくるのです。
多分、デザインをする人は、Tシャツの感覚でデザインをするのでしょう。
実際に、「こちらでプリントするので在庫の白い浴衣を送ってください。」と言われたことは二回、三回じゃありません。
送ってくださった「絵羽浴衣」のデザインに対して、絵羽浴衣の見積もり送ると驚かれます。
「そんなに高いんですか!!!」って言われますが、絵羽浴衣に絵羽浴衣の価格を出しているので、おかしなことはしていません。
結局返信がなくなった案件もたくさんありますが、その後同じデザインで違う方から何度も弊社へ見積り依頼が来ることも多々あります。よそで見積もって価格が高くて、じゃあ俺が調べてやるって担当者が変わり結局同じ鉄を踏んでいく、みたいな感じでしょうか。
じゃあ、どうすれば良いのかというと、まず弊社に連絡ください。
枚数が少なければ注染浴衣、シャープなロゴならプリント浴衣、旅館浴衣が欲しい場合もありますし、もちろん絵羽浴衣もきちんと作ります。
その浴衣の使いみち、必要枚数がわかれば、最適な作り方を提案いたします。
そしてその作り方に合わせた、染め型の寸法をご連絡します。
その染め型の寸法に合わせたデザインを作れば、無理なくオリジナルデザインの浴衣が出来上がってきます。
以前、東京オリンピックに合わせてオリジナルデザインの浴衣依頼が来ましたが、これまた見事な絵羽浴衣でした。
オリンピックの五輪の輪に首を突っ込んだようなデザインでした。
もちろん絵羽浴衣なら絵羽浴衣の見積もりを出すのですが、その見積もりを見て「オタクの会社は高いですね、他を探します」。
けっこう有名な機関?からだったので出来上がったらプレスリリースが出てくるはずなんですが、どうもどこも作ってくれるところがなかったようで・・・・