以前からよくあるお客様からの問い合わせで、
「オリジナルの旅館浴衣を作りたいので、カタログを送ってください。」
ん?オリジナルとは他の旅館・ホテルで使っていない、そこだけでしか使われない唯一無二のデザインですよね。
なのに「カタログが欲しい」とはどうゆうことでしょう?
実は以前にも同じ内容でブログを書いたことがありますが、最近またこのようなお問い合わせをよくいただくようになったので、改めて記事にしています。
旅館・ホテル用の浴衣の場合、オリジナルでデザインを考えたいというのは、その旅館・ホテル名が入った物が欲しいということがほとんどです。さらに言えば、その旅館・ホテルの建っている場所に由来するモノ、名物などの柄を入れてほしかったりします。
例えば、海沿いの温泉地だったら海や波、もしくは千鳥といった海に関連するものを入れたりします。
また伊東市の「ハトヤホテル」みたいに名前に由来するデザインを入れたりします。
海っぺりの旅館・ホテルで紅葉柄みたいなものはあまり見られません。
やはり旅館・ホテルで出される浴衣は、それも込みで旅情であり土地や旅館・ホテルにちなんだデザインの浴衣を身につけることで旅行に来たなぁ、といった雰囲気を味わうものでもあります。
そうゆう意味合いで浴衣をデザインし製造している弊社としては、へっ!カタログ?なんで? と感じてしまいます。
先日も「オリジナルデザインの浴衣が欲しいのでカタログを送ってください。」と、問い合わせいただきました。
で、そのお客様と電話でしばらく話をしたのですが、要は浴衣の事を全く知らないしどんな柄があるのかも知らない。なのでオリジナルの浴衣を作ろうと思ったんだけどどうすればよいのかわからないので、参考資料としてカタログが欲しかったようでした。
状況としては、僕がこの業界に入り浴衣の注文を受け始めた頃は旅館やホテルの女将はいつも着物を着ていて、当然浴衣についても良く知っていて、こちらがわからないことがあってあたふたすると逆に色々と教えていただいたものですが、今は旅館・ホテルも会社経営となり浴衣は資材部が管理しており着物にも浴衣にも縁のなかった人が浴衣の担当となってしまっている、ということみたいです。
さらに、今旅館・ホテル業界では”選べる浴衣サービス”を行うトコロが多く、その”選べる浴衣サービス”に使われる浴衣は中国製の大量生産品であり、カタログの中から選んで注文する物ですので、オリジナル浴衣を作るときもまずカタログが頭に浮かんだのでしょう。
基本的に弊社では、持ち込まれたデザインで浴衣を作ります。
デザインはお客様の方で作ってもらいます。と言っても旅館・ホテルのオーナー様が作るのではなく、パンフレットを作ったりHPを作ったりしている出入りのデザイン会社があると思いますので、そのデザイン会社が作れば良いと考えます。
実際に旅館・ホテルに出入りし、その旅館・ホテルをブランディングの手伝いをしているのなら、それに合わせたデザインも出来るはず。
と言うのは建て前で、パンフレットやHPをデザインできても浴衣と言った衣類は別物です。
なので、どんな感じの旅館・ホテルなのか、どんな感じを目指しているのか、といったいくつかのキーワードをいただければ、叩き台となるデザインを弊社が提案いたします。
その叩き台のデザインをみて、もう少し柄を大きくとか旅館・ホテル名をもっと多くとか、デザインを発展させて他にはないオリジナルのデザインの浴衣を作っていければ良いと考えています。
ただ最近の傾向として、叩き台のデザインからどう発展させていくのかの手間を嫌う感じです。
1発でデザインを決めたいような雰囲気を感じます。
こちらとしても超能力があるわけではないので、電話で1,2回話しただけでズバリピッタリのデザインは作れません。
モノづくりが難しいとよく耳にしますが、このような状況も一つの原因じゃないかと思います。