お客様からの問い合わせで一番多いのが、「浴衣いくら?」。
でもこの問いって、「自動車ディーラーで車いくら?」とか「ブティックで洋服いくら?」とか「洋菓子店でお菓子いくら?」と同じです。自動車ディーラーとかブティックとか洋菓子店ではこのような問いはしないと思いますが、浴衣はいくらと聞いてくるのが不思議・・・。
こちらとしてもオリジナルで浴衣を作る場合は、生地やデザインによって原価が大きく変わります。
一概に「○○○円ですよ。」とは言えません。
特に「いくら?」と聞いてくるのが旅館・ホテルさん。
なぜ、かんたんに価格が出せないか、きちんと説明したく思います。
弊社では浴衣を作る時に、提携工場で各工程をお願いしています。
生地は記事専門の問屋。染めは染工場。縫製は縫製工場。といった感じで、それぞれの工程の専門職人さんが手掛けてくれます。
旅館・ホテル用の浴衣の工程の中でコスト的に一番大きな割合を占めるのが、プリント工場の工賃です。
旅館・ホテル用の浴衣の業界として、かなりコストを抑えて作られていますので(粗利が少ない)、工賃の違いは浴衣単価にすぐに響いてきます。
基本として、生地は白のみ。
白以外の色は、白生地に色を付けています。
わかりやすいように、地色が白の場合で説明すると、
「白地に1色」<「白地と色が半々」<「地色に白抜き」
コストは、色の占有率が高いほど高くなります。
単純に言うと、「白っぽい浴衣の方が安い」ことになります。
要は、使う顔料の量が多ければコストがかかる、ということです。
更に色の占有率が高いほど、下地の準備を念入りにしないといけません。その分のコストもかかっています。
使う色数が多くなると、その分コストが上がります。
さらに、オリジナルデザインの場合はプリント用の新型が必要になります。
1色につき1型
ロータリースクリーン型が今一般的な染め型になりますが、
1型:43000円 ですので、2色の場合は「×2型」、3色の場合は「×3型」 必要となります。
さらに色数が増えると、機械の調整の手間もかかるし顔料も大量に必要となります。
そのため、コスト的に一番落ち着いた価格が出てくる枚数も、色数によって変わってきます。
1色:約100枚
2色:約240枚
3色:約300枚
白地ではなく生地に色を付ける場合は、ベタ染め用の染工場所有の型を使います。
そのため、新しく作らないといけない型は地色以外の型になります。
地色を付ける場合は、最初に地色をプリントしてそれが乾いた後に柄をプリントします。
白地のときよりも工程が増えるため、その分工賃が上がります。
また地色も色数に含まれるため、顔料代もその分かかってきます。
生地は白のみ、ということは、白抜きを作れば1色増えることとなります。
ただ白抜きにするには「白く抜かれた地色の型」が必要となるため、その分の型を作る必要があります。
白抜きの場合は、顔料もかなり使いますのでその分価格が高くなります。
ここまで読んでいただくと、多分何言っているのかわからなくなっていると思います。
旅館・ホテル用の浴衣って、粗利が4割、5割とあるようなものじゃないんです。
それだけ粗利があれば、色数とかデザインとか関係なく「1枚○○○円ですよ。」と言えるのです。
だけど、お客様的には少しでも安く購入したいのが正直なトコロだと思います。
なのでお客様の希望するデザインを見て、上記の例を鑑みてどうすれば少しでも安く出来るのかを提案しています。
粗利が少ない分、工賃が安くなればすぐに反映することができます。
あとお客様にわかってほしいのは、オリジナル品を作るのは簡単ではないことです。
オリジナルのTシャツだってデザイン作るのにかなり考えて作ると思います。
でも簡単でないからこそ、他の旅館・ホテルと差別化できるのです。
その旅館・ホテルに泊まる意味も出てきます。
モノづくりは色々大変ですが、弊社では出来る限りのサポートを致しますので、安心して声をかけてほしいと思います。