旅館やホテルなどで使われる寝間着仕立の浴衣は、洗濯をすると縮みます。
これは一般的な浴衣と違い、防縮加工をしていないためです。
じゃあ何故縮んでも良いのか、誰も文句を言わないのか、というと、それはもうそうゆうものだからとしか言えません。
理由として考えられるのは、
1、旅館浴衣は毎回業務用の激しい洗濯をして使われます。そのため事前に防縮加工しなくても自然に縮まるから。
2、少しでもコストを下げるため、高価な防縮加工はしない。
3、寝間着なので少しぐらいサイズが合わなくても良いし、少し小さめのほうが寝やすい。
4、個人でいつも着るのもではなく、宿泊した一時だけ提供され着るものだから。
こんなところが理由かな、と思います。
旅館浴衣は、出来上がって納品の後にまず洗濯をされます。
これは、縫製時についたゴミやホコリを落とすためです。
一般浴衣は、縫製の前に水通しと呼ばれる洗濯をして、ゴミやホコリを落とします。
洗濯をすると繊維は縮みます。
一気に縮む場合もあれば、洗濯のたびに少しずつ縮む場合もあります。
実際にどのくらい縮むのかというと、生地によって様々ですが、だいたい10%くらいです。
細かく言うと、木綿生地の30/20で約12%、20/20で約10%、TC30/70で約8%。
なぜ縮むのかというと、生地を織るときに経糸を引っ張って緩みがないようにして織ります。
そこに横糸を張りながら織り込んでいくのですが、織り終わったあと水に濡らすと天然繊維は元に戻ろうとする力があるため(寝癖を治すのみ水をつけると同じ)、張っていた分が縮となってしまうのです。
隙間が多くざっくり通っている生地はとてつもなく縮み、密度をあげてぴっちり織っている生地はあまり縮まない、という点もあります。
で木綿は縮むのですが、化学繊維は元々伸縮しない、要するにプラスチックみないな物ですので水に濡れてもそれほど縮みません。
TC30/70は、テトロン30%、コットン70%の割合ですので、約8%の収縮となります。
もちろん、テトロン100%生地はほとんど縮みません。(浴衣帯がそうです)
旅館浴衣を仕立てる場合、あらかじめ縮むことを見越して大きく作ります。
身長ー30cm=ちょうどよい身丈
ですので、身長170cm人用の浴衣は、
170cmー30cm=140cm
140cmとなりますが、10%縮むとして ×1.1
140cm×1.1=154cm
154cmで作ります。
10%の収縮を見るのが基本なのですが、デザインや洗濯方法などでも収縮率は違ってきます。
なので、今まで使っていた浴衣があると新品をどのくらいの大きさで作ればよいのかがわかります。
デザインや生地、それを考えて洗濯具合を計り、じゃあこれだけの大きさで作りましょうか、と提案できます。
ちなみに中国製の浴衣は、約15%縮みます。
中国製の浴衣は、生地が粗いのでその分縮むというか目減りします。
国産なのに、15%以上縮む生地というと、もうそんなモノ売っちゃ駄目です。
販売者に良心がありません。