旅館浴衣に使われる生地には、3種類の巾があります。
基本となるのは、小巾と呼ばれる「36cm」幅の生地です。
次が小巾の倍になる二巾「72cm」の生地になり、その次が三巾「108cm」になります。
小巾「36cm」×2:二巾「72cm」
小巾「36cm」×3:三巾「108cm」
36cmの倍数なのです。
小巾生地は「小巾」とそのまま呼びますが、「二巾」「三巾」生地は広幅と呼ばれます。
旅館浴衣の生地は、「30/20綿」「20/20綿」の綿生地と、「TC30/70」の化繊混紡生地の二種類があります。
(「TC30/70」とはテトロン30%、コットン(綿)70%の割合の混紡生地です)
基本的には、それぞれの生地幅でそれぞれ3種類の生地があったのですが、十年近く前に小巾のTC生地を織っている工場が閉鎖してしまい小巾生地はTCが有りません。
価格は、小巾が一番安く、巾が広くなると高くなります。
生地の種類からすると、30/20が一番安く、TCと20/20が同じくらいかな、時価で時々安いほうが変わります。
細かな話ですが、縫製工賃は生地幅によって変わります。
小巾が一番安く、二巾、三巾と工賃が高くなります。
さらに、ディクセル方式顔料プリントのプリント工賃も生地幅によって変わります。
そして浴衣一枚に対する要尺も生地幅で異なり、小巾、二巾、三巾の順で要尺が少なくなります。
広幅生地(二巾、三巾)を使う特徴としては、背中の中心にある「背縫い」が無いことです。
小巾生地を使うと背中は二枚の生地を横に並べて縫製します。
ですが、広幅生地はそのまま背中の巾が確保できるため、背縫いがありません。
先に言ってしまいますが・・・
小巾生地は生産量が少ないです。小巾生地は生地の中で一番安いため織っている工場が少なく、毎月量を確保して購入している問屋でないと売ってくれません。
そこで小巾生地が手に入らない問屋(会社)が、「背縫いの部分は弱くて使い続けていると背縫いから破れてくる」とか「背縫いがあると寝る時に邪魔になる」とか言うようになりました。いやいやいや、それってデマですから。
あと小巾生地ですとお尻当て(敷き当て)がまっすぐ付けやすいのですが、広巾生地だと歪んで付けてしまいがちなってしまいます。そこで広巾生地を使う時はお尻当て(敷き当て)を付けない場合が多いのですが、さらに「旅館浴衣はお尻当てがつかないもの」なんて間違った認識の方も出てきてしまうようになりました。
いや、ホント、笑い話じゃなくて、本当に上記のような方々がいらっしゃるんです。
弊社で考える生地幅の違いというと、一番大きいのはデザインの違いです。
広幅(二巾、三巾)生地なら背縫いがないため、背中の幅いっぱい使ったデザインができます。
小巾だったら、背縫いがあるのでランダムに散らばったデザインがよく合います。
弊社では、小巾生地の方がコストが掛からないため、散らばったデザインでしたら小巾をオススメしています。
またTC30/70生地を使いたい場合は、広巾生地を使うしか有りません。
TC30/70生地は綿に比べて非常に丈夫で、また顔料プリントとも相性がよく、総合的な耐久性が綿生地よりはるかに良いと言えます。
ですが生地単価は綿より高いため1枚当たりの単価も高くなり、浴衣単価をとるか長く使える方をとるか、になります。
TCか綿がどちらを使うかはお客様の都合によるところが多いのですが、どちらかというとリネンサプライ様ではTC,旅館・ホテル様では綿を選ぶ場合が多いような気がします。
旅館浴衣用の生地にも色々ありますので、なかなかお客様にはわかりにくい部分が多いと思います。
ですので、わかりにくいとなったら弊社までお問い合わせください。
いろいろな状況に合わせてご提案いたします。