「注染」には最低限これだけ欲しい、という反数があります。
「注染」は浴衣や手ぬぐいに使われる、染色技術の一つです。
あらかじめ染まらない部分を糊で覆ってある生地を蛇腹状にたたみ、上から染料を注ぐ染め方です。
注ぐ際、糊で土手を作り、その土手で囲われた部分を違う色で染めることもできるため、一気に多色染めができるのが注染の特徴です。
注染は染料を使って染めるため、風合いが柔らかく肌触りも優しいのが良いところです。
注染の染め方の特徴上、上から染料を注ぎ下から余分な染料を抜くのですが、染める生地が少ないときれいに染料が抜けません。
やはりある程度の厚みがどうしても必要となります。
また注ぐ染料もお客様の希望に合わせて調合します。
それをうえからザブザブ注ぐため、ある程度の量が必要となります。
きれいに染めるための生地の厚み、その都度調合する染料の量などから、
注染は最低12反必要
となります。
最低限の12反で、だいたい上記の枚数の製品ができあがります。
もちろん注染工場によって最低限の染める量は異なってきますが、だいたい12反を最低量とすれば問題なく染まります。
(江戸注染では2反からのところもありますが、それなりの価格になります)
さらに付け加えると、オリジナルの柄の場合、別途新規型代がかかります。
なので枚数が少ないと型代の負担も大きくなってきます。
注染の工程は、職人さんの手作業が占める部分がほとんどです。
職人さんは、最初から駄目なものを作りたいとは思いません。
良いものを作ることを目指して仕事をしている方が大部分です。
お客様の希望で、「もっと少ない数でもっと安く。」と言われることがままありますが、やはり最初から不良が出やすいような、しかも自分の技術を安売りするような事はやりたくありません。
今は少量多品種の生産に変わりつつありますが、やはり最低限の枚数が必要であることをお客様にも承知してほしいと思います。