仲の良い問屋さんの話ですが、「リネンサプライから色の落ちないタオルをもってこい!!!、と言われて困っている。今まで納めていたタオルでは駄目だと言っている。」とのこと。
最初にはっきり言いますが、色の落ちない繊維製品は有りません。
どんな染めでも、たとえば分散染料でそめた化繊でも、大なり小なり色は落ちます。
なので業務用の洗濯の場合は、色のついたものと白いものは一緒に洗いません。
一緒に洗って色が移ってしまったらもう使えなくなるので、洗濯の前にはしっかりと分けます。
業務用として旅館・ホテル、病院、介護施設などで使われるカラータオルは、染の中でも最強と言われる「スレン染」で染められます。
「スレン染」は漂白剤を使った洗濯でも色落ちが少ないため、業務用の業界ではとても浸透した染め方です。
「スレン染」も染料を使った染め物ですので、化学反応で発色します。
ただ染料の特徴として、鮮やかな色は出ません。どうしても少しくすんだ色合いになってしまいます。
また染料自体が難しい染料ですので、きちんと耐久性を出すのが難しいとのこと。昔聞いた話ですと中国で作ったスレン染めのタオルが数回の洗濯で色がほとんど抜けてしまいクレームになったとそうで、それを製造した中国企業に言ったら「こちらは色の落ちないスレン染めとは指示されていない。」と突っぱねられたそうです。
繊維製品は価格と品質が比例していると思います。
なのでいくら「スレン染」と言っても、海外で作った安いスレン染のカラータオルと、日本製のスレン染のタオルの品質が一緒ではないでしょうし、その品質込みで安かったり高かったりするのではないでしょうか。
はっきり言って、海外製の安いカラータオルに日本製の高いタオルと同じ品質を求めても駄目だと思います。
安いカラータオルは、品質のばらつきも大きく色も落ちたり落ちなかったり。それらを含めて安いわけですから。
多くのリネンサプライ様では、カラータオルは色が落ちて当然。
なので汚れや紛失・消耗が激しい現場で使い、洗濯のときは他のモノは混ぜずにそれだけで洗います。
今回はタオルの話をメインでしましたが、実は浴衣でも色落ちや色移りの問題があります。
なので浴衣のデザインも色落ちがしにくい色をできるだけ使うようにし、色移りしても問題がないようにしています。
デザインの段階で防げることは防いでしまいます。
冒頭に書いた問屋さんの話。
今まで長く付き合ってきたリネンサプライ工場長から「色の落ちないものを!」という話を受けたそうで、対象となるタオルも永いこと納めてきたものだそうで、それじゃあきっと他に理由があるんじゃないかと。
例えば新しい仕入れ業者に変えたいんじゃないかな、今まで付き合ってきた問屋さんは問題がないから急に変えると会社の上の人達がうるさいから何かクレームを作ったんじゃないかな。もしかしてバックマージンも・・・・
けっこうリネンサプライは怖い業界なので色々と邪推してしまいます。