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金属ローラープリント

旅館浴衣用のディクセル方式顔料プリントには、「ロータリースクリーン」と「金属ロール」の2つのプリント方法があります。

 

弊社としては、浴衣の単価はできるだけ下げたいので「金属ロール」でやりたいのですが、「金属ロール」はなかなか条件にあうことが少ないため「ロータリースクリーン」を使う場合がほとんどです。

旅館浴衣の場合、一旦作って納めたら終わりというわけではなく、旅館浴衣は消耗品ですので何年かしたら補充する必要があります。

その時、単価の安いほうが旅館・ホテル様的には助かると思いますので、単価の安い「金属ロール」で作りたいと思うのです。

 

 

「金属ロール」と「ロータリースクリーン」の何が違うのかと言うと、

 

「金属ロール」は金属の円筒形の金型を使います。

「ロータリースクリーン」は、円筒形のシルクスクリーンの型を使います。

 

「金属ロール」はプリント速度が早いため工賃が安く、逆に「ロータリースクリーン」はプリント速度が遅いため工賃が高くなります。

簡単に言うと、「100Mプリントするのに金属ロールが30分、ロータリースクリーンが1時間。どちらの方が手間がかかっていますか?」

みたいな話です。

 

 

「金属ロール」の方が安ければ「金属ロール」で全部作ればいいじゃん、という事になるかもしれませんが、金属ロールは型代が高くて方の制作日数が「ロータリースクリーン」の倍近くかかります。

 

他にも「金属ロール」の特徴として、

 

・型の円周が短いため、大柄には向かない。

・円周の長い金属ロール型もあるが、型代がとても高くなる。

・二色までしか使えない。

・二色の場合、柄の合わせがきちんと合わさらない。

・基本的に、小巾生地で行う。

・広巾生地の場合型が非常に高くなるのと、広巾生地がプリントできる工場が限られてしまう。

 

 

なので、

・小巾生地使用

・連続した小紋のようなデザイン

・1色

・型制作に時間がかかるため、納期に余裕がある。

 

さらに、1枚単価が安くても型代が高いため、ある程度の枚数がないと合計金額が高くなってしまいます。

試算してみたところ、400枚~500枚くらいの枚数があると「ロータリースクリーン」で創るよりも安くなります。

 

実際のトコロ、上記のような条件に当てはまる案件はほとんどありません。

 

 

「金属ロール」の浴衣は、上記のような浴衣デザインになります。

 

 

下のようなデザインは、「ロータリースクリーン」で作った浴衣です。

というより、下のようなデザインは「ロータリースクリーン」でしかできないデザインになります。

 

少し前までは、新しいデザインで作るとなるとほとんど「金属ロール」で作っていました。

その頃は、「金属ロール」用の型が「ロータリースクリーン」用の型よりも安くて、制作も早かったからです。

ところが数年前に「金属ロール」の型の加工工場が閉鎖されました。どうもかなり高齢の方が採算度外視で作ってくれていたみたいです。じゃあ新しい工場で、となったとききちんと採算がとれる価格になったのですが、その価格が思いの外高くて・・・・

今までやってくれていた高齢の工場は、どんだけ採算度外視でやってくれていたんだと、その時に知りました。

 

 

今の旅館浴衣は、けっこう納期が厳しく、しかもカラフルな柄になっています。

となると、どうしても「ロータリースクリーン」でプリントすることとなってしまいます。

ですが、基本的にはできるだけ安く(採算はしっかり取れる価格で)したいと思いますので、厳しい条件にあう案件のときには「金属ロール」をおすすめしています。