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浴衣生地(晒)の価格

新型コロナ禍や気候変動などの影響で、物価がどんどん上がっています。

繊維関係ももれなく同じで、原料である糸の価格の上昇、燃料の上昇などから価格がの上昇が止められません。

 

と言っても、全て同じように価格が上がるのではなく、やはり作り方や生産地によって価格上昇の程度が異なっています。

 

本仕立ての浴衣に使われるのは、主に「小巾(38~40cm)」の生地です。海外生産の浴衣やインクジェットプリントの浴衣だと小巾よりも幅の広い「広巾生地」を使います。

旅館浴衣では、「小巾(36cm)」の生地もありますが、「広巾生地」が多かったりします。

 

旅館浴衣では、小巾生地と広巾生地の浴衣の違いは、”背縫い”があるかどうかですぐに区別できます。

小巾、広巾の生地の差は、「着心地」「丈夫さ」はほとんど違いはなく、何が違うかというとデザイン性と価格です。

価格でいうと「小巾」より「広巾」の方が高くなります。デザインは、「広巾」の方が背中巾いっぱい使ったデザインが出来る点になります。

 

 

 

今回の価格上昇、広巾生地の方が価格の上がり具合が大きくなります。

小巾の方が上がり具合が小さくなります。

 

 

実は、広巾生地のほとんどが海外生産です。

小巾生地は国内生産です。

 

広巾生地というのは、洋服を作る場合にも使われます。ですので海外でも織ることができ、そのため海外で織らられた生地が輸入されてきます。

小巾生地は日本独特の規格で、海外ではあまり使われません。ですので日本国内で織られる場合が多くなります。

小巾生地の主な産地は、愛知県の知多半島周辺と大阪近辺になります。

 

 

 

今回の価格上昇は、海外から影響が強いため海外に依存している商品が高くなる傾向があります。

そのため、生地の巾で上昇の程度に差が出てきてしまいます。

 

旅館浴衣は、広巾で作っているものが多いため価格上昇が大きくなるのではないでしょうか。

「背中に縫い目があると弱い」「背中に縫い目があると寝にくい」とか、広巾生地の浴衣を売り込みたい商社が色々な噂を流していたため、広巾生地の浴衣が多く流通していますから、今回の状況は本当に困っているトコロが多いと思います。

 

 

小巾生地はどうかというと、実は一部海外で織っているところもあります。

国内製造のところは価格の上昇もほどほどですが、やはり海外製のモノは価格が上がっています。

 

 

手芸用品屋さんなどで販売されている袋入りの晒生地。

もちろんこちらも価格が上がっています。

が、大阪系の晒生地は価格が上がっているのですが、愛知系の晒生地はそれほど変わりません。弊社の利益をちょっと減らせば以前と同じ価格で販売できるほど微々たるものです。

 

まぁ、大阪系の晒生地は加工の工賃を”人間並み”にするため上げたことも理由の一つです。”人間並み”の価格にしないと今後産業が続かないため、価格を上げています。それもあっての価格上昇でもあります。

 

 

本仕立て浴衣、旅館仕立て浴衣、それぞれ価格が上がっていますが、生産地によって様々な状況になっています。

そういえば旅館浴衣はプリント用の型を生地幅に合わせて作るため、商社に言われて広巾で作ったところは軒並み価格がえげつなく上がっているから大変だなぁ。いまさら型を作り直せないし。