· 

初生衣神社 御衣祭り

毎年4月の第二土曜日は、浜松市北区にある初生衣神社の御衣祭りです。

 

初生衣神社とは「絹織物」の神社。

伊勢神宮におわします天照大神がお召になられる衣=御衣(おんぞ)が織り上がったことをお祝いするのが、御衣祭りです。

 

自分は着物が好きだし、一応会社も繊維業界の片隅に席を置くものとして、毎月清掃奉仕活動に参加しています。

そんなご縁のある神社ですので、今年もお手伝いに行ってきました。

 

 

この”初生衣神社”は、もともと都で絹織物を担当していた神服部家が祀っている神様でした。

どちらかといえば「屋敷神」に近いのかな。神服部家だけで祀っていた神社ですので、氏子はいません。

初生衣神社のある地域にはすぐ近くに八幡社があり、そちらが地域の人々がお祀りする神社です。

 

この神服部家、本来ならすぐ隣にある家で暮らしているはずですが、いろいろあって初生衣神社から離れて他の県に移り住んでいるようです。

この神服部家のご主人である前の神主さんが、今の御衣祭を復活させたそうで、実は今の形になったのは昭和になってから。

屋敷神のような初生衣神社でしたが、神服部家ではお祭りするのにお金がかかるため浜松の織物組合に話をして「遠州織物の神様」としてお祭りするようになったとか。

遠州地方は木綿の織物の産地で初生衣神社は絹織物の神様。どう考えても無理があると思うのですが、やはりブランド化を進めたい織物組合はその話にのったみたいで、今では神社の入口に掲げてある浜松市教育委員会の看板にも「遠州織物の基」と書かれています。

根拠はないんですよねー、でも市を揚げて「遠州織物の祖」と言っていれば、そのうちそれが本当になります。

遠州地方が木綿の織物の産地になったのは、他に偉人がいるからなんですが、やっぱり神様ブランドには勝てない様子です。

 

 

 

新城市の赤引で作られた生糸を使い、国内で織られた「御衣」は近くの浜名総社に一旦納められます。

浜名総社に納められている「御衣」を、初生衣神社の幟を持った人たちが列を作って取りに行くのが、御衣祭りの有名な場面です。

 

いつもは僕も幟をもって列に並んでいったのですが、今年はお祭りに来た子どもたちに記念品を配る係をやっていて、並びませんでした。ちなみに御衣の箱を持っているのは、いつも一緒に清掃活動をしている知人たちだったりします。

 

神社の外にはフランクフルトとかの食べ物を販売する店が並んでいて、その中でも三ヶ日牛ハンバーガー屋さんの牛脂が焼ける甘い匂いがもう堪らなくって堪らなくって・・・・

 

 

お祭り自体は、祝詞奏上、巫女さんの踊り、玉串奉奠、といった神事です。

浜松まつりのような練りや屋台の引き回し、お神輿といったものはありません。(そういうのは地域の神様八幡社のお祭りでやります)

参列するのは、浜松の織物関係者の方々や市会議員、県会議員など政治家の方々、地元の顔役の方々など。

 

大体1時間ほどで神事が終わります。

以前でしたら、餅投げがありましたが新型コロナ禍のため今年はプレゼントの抽選会となりました。

 

 

今、境内にある「織殿」の破損がひどくなり。その改修に多額の資金が必要となっています。

そのためにも、多少神様の性格を曲げても産業界とくっつくのが正解でしょう。

 

力も金も無い小さな会社の人間が何を言っても仕方ありません。

お金をたくさん落としていく方々の方が、やはり重要なのです。