この夏前の季節になると時々いただくお問い合わせ、「浴衣の生地を持っていけば仕立てもらえますか?」。
個人的に着物や浴衣が好きなので、浴衣を仕立てるのは和裁士さん。もしくは反物を買った着物屋で仕立ててもらうのが普通と思っていましたが、よくよく考えると世間的には浴衣や着物を着ない人の方が多いわけなので、”浴衣生地をもらった”とか”これから着物を着てみたい”という人にとっては、どこで仕立てるのかはわかりません。
まして、今の時代は「服は仕立て上がったものを買ってくる」のが当たり前ですので、オーダーメイドで服を作るなんて考えつかないことでしょう。
洋服は世界共通の服ですので、安くできる海外製の服が色々な洋服屋に並んでいますが、着物や浴衣は日本独自の服です。安い海外製のものもありますが、まだまだ生地で置かれて販売されている事も多いと思います。
先に書いたように「服=出来上がったものを購入するもの」という頭の人は、生地で置いてある?じゃあどうすればよいの?となってしまうのが当然でしょう。
「で、結局浴衣や着物の生地をもらったときはどうすればよいの?」
和裁士さんにお願いして自分の身体に合わせて作ってもらうのもありますが、和裁士さんが身近にいない場合は、近くの呉服屋さん、着物屋さんに相談するのが良いです。
浴衣や着物はそれだけで着られるわけではありません。
「帯」や「襦袢」「腰紐」なども必要になってきます。
そうゆう細かなところを相談できるのが、呉服屋さん、着物屋さんだったりします。
就職活動を始めるときにスーツ一式購入した経験があると思いますが、スーツだってジャケットとパンツだけじゃなくてワイシャツだったりネクタイだったり、ベルトも必要だし革靴などなど必要なものがたくさんあります。
着物も最初に着るときは、長着だけじゃなくて襦袢も、帯も、腰紐も足袋、草履といろいろなものが必要です。
浴衣は着物の中でも一番”楽”に着られる着物です。
浴衣は洋服でいうところの、Tシャツ短パンに相当するものです。ほとんど下着に近い扱いだったりします。
なのでかしこまった場所には不向きだったり、明るいうちに着ているのは恥ずかしかったりするのですが、その分堅苦しい着物のルールから外れていますので、好きに着れば良いものだと思います。
着物の場合は、襦袢や足袋が欲しかったりするのですが、浴衣は襦袢がなくても足袋を履かなくても大丈夫。
なのでそろえるものも少なくて済みますので、着物初心者には最適なものだったりします。
着物屋さん呉服屋さんに相談するもの、いきなり本格的な着物よりも敷居は低いかと思われます。
で、弊社で、生地持ち込みで個人の浴衣の仕立てをやっているかというと、やっておりません。
弊社は業務用の浴衣の制作をしておりますので、縫製工場で定番の形・サイズの浴衣を作ります。
個人の身体に合わせて、「お誂え」するようなことはやっておりません。
個人のオーダーメイドであるお誂えと、工場生産の仕立ては違うものです。
見た目は同じように見えますが、着心地が全然違います。
実は先日も個人の方から仕立てできないかの、の話がありました。
そこで、上に書いたように着物屋さん、呉服屋さんに相談することを勧めました。
やはり餅は餅屋というべきか、個人の着物は、着物屋さん呉服屋さんに任せるのが一番だと思います。