”選べる浴衣サービス”ですが、旅館・ホテル業界的には一般的なサービスになっており、それ以外の業界ではまだまだ一般的ではなかったりします。
もっとくだけて言うと、”選べる浴衣サービス”はどこでもありますが、銀行やコンサルタント、広告代理店などの方々に言わせると、「そのサービス良いですね!!」「これで差別化しましょう!」「ぜひHPにも載せましょう」みたいな勧められ方をされます。
いや、そんなどこでもやっているサービスをそんな風にいうなんて、あなたこの業界知っているの?ホントに任せて大丈夫?そんな印象をうけます。
この”選べる浴衣のサービス”に使われる浴衣は、だいたい中国製品です。
中国製品の特徴として、
- 多くの色を使い、とてもカラフル
- 鮮やかな色が多い
ただ、旅館浴衣って使わている色によって耐久性が大きく変わります。また不特定多数の人が着るものですので、カラフルなデザインですと似合う人似合わない人が出てきて、それを補うためにたくさんのデザインの浴衣を揃えなければいけなくなる、といった欠点もあります。
※以前は「価格が安い」という点もありましたが、今は中国製の方が高くなっています。
ただ色々なデザインの浴衣があって、好きなデザインの浴衣を着られると言っても結局同じような浴衣が選ばれるわけで、「選ぶ」というのは自分だけの浴衣みたいな感覚があると思うのですが、同じようなデザインの浴衣ばかり選ばれていたりして、SNSに挙げられている画像をみると同じような旅館浴衣の投稿ばかりとなっているのも現状です。
北海道のホテルの写真も沖縄のホテルの写真も同じデザインの浴衣・・・、
みんなと同じ浴衣を着るのは安心できるかもしれませんが、同じデザインの浴衣なら似合う人似合わない人の差が顕著に出てしまいます。まして芸能人と同じ浴衣を着てしまった日には無惨としか言いようがありません。
はっきり言って”選べる浴衣サービス”は集客にはなりません。
もうどこでもやっているサービスです。
しかも”選べる浴衣サービス”に使われる中国製の浴衣は、だいたいメーカーが決まっています。アパレル業界と比べて旅館・ホテル業界は規模が小さく、たくさんのデザインの中国製の浴衣を在庫で持つメーカーなんて限られます。
結局、どこに行っても同じメーカーの同じ浴衣が並べられているだけで、目新しさはどこにもありません。
さらに”選べる浴衣サービス”はリースやレンタルではなく、旅館・ホテルがそろえる場合が多いようです。
基本的に浴衣は収容人数の5倍の数を用意します。
でも”選べる浴衣サービス”の場合、収容人数の5倍ではすみません。どの柄が出るのはわかりませんので、5倍よりも多い数量を揃えています。
しかも中国製の浴衣の耐久性は、日本製の浴衣の約半分くらい。
ディクセル方式顔料プリントとは関係ない、一般アパレル用の顔料プリントで作られています。
耐久性の低い、単価の高い浴衣を、大量に揃えて出している=選べる浴衣サービス
でも宣伝効果は無い(薄い)
なぜ”選べる浴衣サービス”をやっているのか、とても不思議です。
そんな負担を追わなくても良いのに、と思います。
で、実際に聞いてみたことがありますが「みんなやっているからウチもやっている」。
他と差別化しなければ生き残れない時代なのに、みんなと同じことをやっている安心感を求めたら潰れてしまいます。
浴衣を作っている側とすれば、そこにしか無い浴衣を自由に作って欲しいと思います。