以前ある旅館のオーナーさんと話をした時、「浴衣とか羽織とかはカタログから選んで買ってます。とても簡単で楽です。」とおっしゃってました。この旅館のオーナーさんの話を聞いて、色々と思い当たることがあることに気が付きました。
今一番売れている旅館浴衣を考えると、やはり浴衣カタログに載っているような浴衣なのは間違いありません。
カタログの中から旅館浴衣を数種類選び、「選べる浴衣サービス」にしている旅館・ホテルの多いこと多いこと。
この「カタログから旅館浴衣を選ぶ」ということについてちょっと深く聞いてみると、「楽だから」とおっしゃっていました。
なるほどなぁ、「楽」なんだ。そりゃあ考えなくてもよいわけだから、「楽」なんですよ。
頭を使うことって疲れます。
元来、人間は”楽”をしたい動物です。
でもね、現在の社会は資本主義社会なわけで、資本主義社会ではモノの価値が大切となり、価値とは他にないそのものにしか無いモノです。「旅館浴衣のカタログ」の価値は考えなくても良い点にあり(価格は高いので価値にはなりません)、その価値による恩恵を受けるのは販売する側にしかなく、使う側には恩恵はありません。
「え、良い柄の浴衣を簡単に使えるのは恩恵じゃないの?」というかもしれませんが、結局旅館やホテルを経営しているという同じような立場の人間が良いと思うものはほぼ同じような物で、結局のところ日本中どこの旅館・ホテルも同じ柄の浴衣を使っうことになり、その旅館・ホテルに泊まる価値の一つは無くなっています。その証拠にインスタグラムなどのSNSを見れば、おんなじ浴衣の写真がたくさん載っています。しかも北海道のホテルでも、箱根のホテルでも、有馬温泉でも、別府温泉でも同じ。もっと細かいところの温泉旅館・ホテルでも同じ浴衣。せっかく泊まったお客様が写真をネットに上げてくれているのに、よそと同じ浴衣の写真・・・。これって旅館・ホテル側に恩恵がないじゃないですか。
と言っても、考えなくても良いという”楽”をしているオーナーさん達は、自分たちが損をしていることに気が付きません。
新型コロナ禍も過ぎつつある今日このごろです。
当然コロナ禍で落ち込んだ売上を取り戻したいと思っている旅館・ホテルさんが多いと思います。
でもちょっと待ってください、と言いたいのです。
どの温泉地や観光地でも、新型コロナ禍の最中でも売上が落ちていない旅館・ホテルがあります。
なぜ売上が落ちていなかったのか、それがわからなければまた何か有った時に売上に苦労してしまいます。
と言っても「なぜ売上が落ちていなかったのか」の理由は、誰もが知っています。
それは「その旅館・ホテルにしかないサービスがあったから」
「その旅館・ホテルにしかないサービス」って、それはその旅館・ホテルが懸命に考えて試行錯誤したサービスです。
いろいろ考えた末に出てきた事です。
旅館浴衣一つにしても「考えなくて楽で良い」と思っている旅館・ホテルのオーナーが多い現在、自分の旅館・ホテルで出来るサービスは何かを一つ一つ考えていくことは非常に大きなビジネスチャンスです。
「旅館浴衣ごときで何を・・・」と言う方もいらっしゃると思いますが、SNS全盛の今宿泊されたお客様が自撮りをする機会も増えています。その自撮りで旅館・ホテル名を知ってもらうチャンスを見逃すことはもったいないと思いませんか?
上記のような本も観光されている現在です。
どのタイミングで自分のところの旅館・ホテルが紹介されるかわかりません。
「その旅館・ホテルにしかないサービス」って、宿泊されたお客様に心地よく過ごすことが出来るということが前提ですが、やはりそのサービス一つ一つに物語がないと薄っぺらくなってしまいます。
これって今流行りのブランディングでもよく言われていることで、商品(サービス)に物語がないと売れません。
ウチの会社は浴衣をつくっていますので、物語のある旅館浴衣を作りたいと思っています。
大前提として、旅館・ホテル様が元気にならないとウチも困ってしまいます。
なので旅館・ホテル様の売上が上がるような浴衣を作っていきたいと考えています。
今、考えない人が増えてきていますので、ぜひ今のうちに色々と考えて売上を上げてほしいと思います。