旅館浴衣のデザインをする時の注意点です。
その前に旅館浴衣はどのようにプリントされるのかというと、「ロータリースクリーン」もしくは「金属ロール」の二種類の型のどちらかを使うのですが、共通するのはその2つの型とも円筒形の型が回転して生地に顔料をプリントしていくことです。
なのでデザインは円筒形になることを前提にデザインしなくてはいけません。
デザインは長方形の枠の中でデザインをします。
使う生地の幅に合わせて「36cm巾(小巾)」「72cm巾(二巾)」「108cm巾(三巾)」の巾に、プリント型の円周の長さになります。
プリント用の型は、ロータリースクリーンの円周が64cm、金属ロールはいくつか種類がありますが5インチ型で38cm(インチは直径の表示)。
つまり、ロータリースクリーンの場合は、
「36cm✕64cm」「72cm✕64cm」「108cm✕64cm」。
禁則ロール(5インチ)※諸事情有るので小巾、二巾まで
「36cm✕38cm」「36cm✕72cm」
そして長さ方向の上下の柄がつながるようにしなくてはいけなくて、もしつながらない場合はその部分でデザインが途切れてしまうことになってしまいます。
例えば、ロータリースクリーンでプリントする場合には型の円周は64cmですので、その中で上下がつながるようにデザインしなくてはいけないということです。
花や紅葉を散らしたり、といった自由ながらの時は問題ありません。
でも小紋のような幾何学的な連続柄の場合、一つ一つのデザインの大きさを考えないと上下が上手く繋がらなくなります。
わかりやすいように言うと、例えは「市松柄」
ロータリースクリーンの円周が64cm、小巾生地の巾が36cm、正方形をきっちり収めようとすると、64cmと36cmの公約数でしか入りません。
つまり、1cm角、2cm角、4cm角の正方形しか収まりません。
じゃあ、巾は少しくらいはみ出しても、どうせ浴衣に縫い合わせたときに縫い代で正方形に見えないから良いとして、できるだけ大きな正方形の市松にして欲しい、となると、64cmの公約数になります。
1、2、4、8、16,32cm、の6パターンになります。
もうね、これは駄々をこねても仕方ありません。
「どうしても10cm角の正方形を入れたい!」と言っても、型の円周が64cmと決まっている限りできませんし、もしくは歪なデザインになってしまいます。
実際、旅館浴衣のデザインをする時は、電卓がかかせません。
一つ一つの柄の大きさを計算して、きちんと収まり、プリントしたときに自然になるようにします。
また実際の大きさでプリントアウトしてみて、きちんと収まるかを確認したりもします。
弊社でデザインする場合は、特に問題なくデザインを作ることができますが、外部のデザイナーさんが作る場合はきちんと説明を尽くすようにしています。
それでも中々理解してくれず、困ってしまうときも有るのですが・・・・