今、繊維関連の製造工場が悲鳴を上げています。
注染工場、晒工場、織工場、縫製工場・・・・ほぼすべての工場が悲鳴を上げています。
何故か。
仕事がたくさんきていて、とてもさばけない状況です。
「仕事がたくさんあるなら良かったじゃん」 そう思われるかもしれませんが、実際の状況はそうではありません。
そんなにたくさんの仕事があるのか、と言うとそうではありません。
新型コロナ禍で仕事が激減し、色々な工場がなんとか乗り切ろうとして様々な対策をしてきました。
その中で人員の整理を行ってきたところも多くみられました。
その結果、人が減ったため工場の生産力は落ちましたが、工場を潰さずにすんだところが多かったようです。
そこへ経済が回りだし、少しずつ仕事が入ってくるようになりました。
当然人を減らしているので、以前と同じだけの仕事はできません。
そこで仕事がいっぱいいっぱいになり、悲鳴を上げる事となりました。
今までの工場の生産力:10 とすると
新型コロナ禍で:5まで減らしました。
仕事が入ってきて、今までの:7くらいの仕事が来たらいっぱいいっぱい
こんなイメージです。
別のパターンで言うと、新型コロナ禍を乗り切るために別の会社から仕事をもらいました。
例えば、浴衣の縫製工場が浴衣の注文がなくなったため婦人服の縫製の仕事をお願いしてもらってきました。
で今になって浴衣の注文が入ってきたのですが、今まで助けてくれた婦人服の縫製も止めるわけには行きません。
浴衣の縫製、婦人服の縫製、両方の注文をこなすのにいっぱいいっぱいの状況です。
実は工場としては、急に注文がなくなった浴衣より定期的にきちんと仕事のある婦人服に移行したいとか・・・
なんとか新型コロナ禍をくぐり抜けた工場もあれば、耐えきれずに閉鎖してしまった工場もあります。
例えば、腰紐などに使われる「モス」生地を織る工場も3社あったのが1社になってしまいました。
いろいろな理由がありますが、とにかく繊維業界全体で生産量がガタ落ちしています。
今まで通りのモノ作りができなくなっています。
製造現場の状況は上記のような感じですので、製造現場に近い弊社としてはかなり危機感を感じています。
ですが現場から少し離れたところの問屋さんは、この状況をわかっていません。
もしくはわかっていてもわからないふりをしています。
結局のところ「大変大変と言ったって何とかなるんでしょ。」か「いいよ、その商品がなければ他の商品探すから」・・・
こうゆう考えが今繊維産業の衰退を起こしていっているのですが。
で、具体的なことを言いますと、注染ゆかたなどに使われる「30/30特岡生地」フリーで使えるものは織り上がり2ヶ月待ち。
注染手ぬぐい、注染ゆかた共に染め上がりまで約2ヶ月。
縫製は何とか今まで通り。
わかっているのはこのくらい。
ただ今後はわかりません。次々とできなくなっていく工程が増えていくと思います。
そういえば、「3月に絵羽浴衣300枚縫製を頼みたいんだけど・・・」と言ってきたトコロ、どうなったんだろう・・