個包装の晒生地を購入されたお客様から、色糸が入っているんだけど・・・との連絡がありました。
白い生地ですので少しでも色のついたものが入っていると非常に目立ちます。
もちろんこれは不良ですが、ある意味仕方ないものでもあります。
まず、なぜこんな風に色糸が混入するのかというと、織っている環境が悪いからです。
実はこれは色糸ではありません。
ほこりが織っているときに圧縮されて色糸のように見えているだけです。
織工場はホコリが多いのはなんとなくわかると思います。
すごい速さで糸を織っていきますので、織り機で擦れた糸の繊維がす恋ずつ出てきます。
その繊維が積もってホコリとなるのですが、そこに職人さんの体とか服についていたりするホコリも多少なりとも漂っていて、それが織っている最中に織機に紛れ込んでしまったとき、写真のように色糸の混入となります。
解決方法としては、空調完備で外からのホコリが入ってこない空間にて、専用の服を着て他のところからのホコリを持ち込まないようにした工場にて織ること。
ただこれだけの手間と設備をかけると、それはそれでコストがかかります。
コストがかかるということは、それだけ商品価格も上がります。
実際、高級アパレル用の生地は、上記のような空調完備の工場で織られたりしています。
上記の写真のような織物工場って、いかにも伝統的な職人さんがやっている工場のイメージです。
一般の人がこの写真を見て、悪い印象を受けることはありません。
でも繊維業界の人からすると、こんなにホコリが積もったところで織られた布は大丈夫?となります。
設備投資を押さえればコストが安くなり、安い商品ができてくる。
設備投資をかければ良い商品ができるが、商品の価格は高くなる。
どちらの商品が良いでしょうか?
というと、さてどうしよう、となるかと思います。
結局のところ、「ケースバイケース」で考えていくしかありません。
例えば、旅館・ホテル用の消耗品である、シーツや枕カバーだとかなりの割合でゴミが混入しています。
旅館やホテル用の寝具ですと、毎回洗って使うわけですので清潔ですし、宿泊客がわざわざ色糸やゴミの混入に気がつくこともありません。まして消耗品として、常に新しいものが必要な商品ですので、価格は安い方が良い。
今、旅館・ホテル用のシーツやピロケースの殆どが中国製です。
これは上記の理由で、価格を重視しているため。
逆に一般販売されるアパレル用の生地は、ゴミの混入は許されません。
織り上がった後の検品も厳しいものであり、審査に通らなかったものはB品、C品として利益が出ないくらい低く扱われます。
その代わりA品は高い価値が付きます。
最初の晒生地ですが、例えば高級アパレル生地と同じように扱うのなら、今の価格の5、6倍の価格は最低でも必要です。
で、個別包装の晒生地にそこまで高い品質を必要としているのでしょうか?
もし必要とするなら、個別包装ではなく、専門の生地問屋にて業務用として高品質の生地を手配します。
(もちろんそれなりの量も必要となってきますが。)
実際のところ、着物用、浴衣用の生地は高い品質が求められるので、それなりの価格と量を出してそろえていたりします。
結局のところ、安くて高品質なものは無いわけで、それを考えてそれぞれのケースに合わせて生地を選んでいくしかありません。