旅館浴衣の主流はシルクスクリーン(ロータリースクリーン)でのプリントですが、シルクスクリーンプリントの特徴を活かしてグラデーションを作ることができます。
シルクスクリーンはスクリーンの網目から顔料を生地につけていくわけで、ドットのようなプリントイメージと考えれば、顔料の粒を荒くしたり密にすればグラデーションになるわけということです。
生地にプリントされる顔料の粒が密になればベタ染まりになるし、荒くなればなるほど薄い色になっていきます。
その境目がグラデーションになります。
これを利用すると、同じ色でも色が異なって見えるようにできます。
顔料1色なのに2色に見える、みたいな感じです。
プリント工賃は色数で変わり、色数が多くなれば高くなります。
なので、実際は1色なのに見た目で2色に見えるとなれば、2色に見えるのに1色分の工賃で済んでお得、ということになります。
もちろん「顔料の粒を荒くしてグラデーション」ということだけじゃなく、全体的に荒くプリントして「紬生地風」「デニム風」の柄を全体に入れることもできます。
旅館浴衣の場合、毎日洗濯をして使うものですので、顔料プリントでベタ染まりの部分が広いと繊維の毛羽立ちが目立ってきます。
だけど「紬生地風」「デニム風」のプリントだと、毛羽立ちが目立たなくなります。
「毛羽立ち」が目立たないということは、使用感がなかなか出ないため長く使えるということ。それと途中で補充品を入れた場合に、新たしい浴衣と古い浴衣差が目立たない、という点があります。
なので、ベタ染まりよりもコチラのデザインのほうがオススメだったりします。
特に濃い色でベタ染まりにする場合、一般的には毛羽立ち防止加工をオプションで加えて長持ちさせるようにするのですが、上記のデザインのようにすれば、毛羽立ち防止加工無しで同じくらい、いやそれ以上長持ちします。
デザイン持ち込みで旅館浴衣の注文を受けることもありますが、このようなプリント技術は一般的に知られていませんので、グラデーションのあるようなデザインは、まず持ち込まれません。
でも「この部分、グラデーション、もしくは紬風、もしくはデニム風にするといいのになぁ」というデザインもけっこうあります。
ただ持ち込みデザインの場合は、デザイナー、デザイン会社、旅館・ホテルなどなど、たくさんの会社が関わっていることが多くて、こちらから変更案を出すと、その確認で数週間かかることがあるため(というよりほとんどが数週間かかる)、提案できない場合が多くあります。
このグラデーションのプリント、こうゆうこともできるという、プリント技術の紹介です。
で、実際に浴衣を使う場合にも、非常に有効的な技術でもあります。