よくある問い合わせなんですが、「海外で浴衣セットを売りたいんですが、1セットいくらで卸してもらえますが?」。
できるできない以前に値段を聞いてくるとか、セットの内容は、とか色々ツッコミたいとところも多いのですが、まぁ一応きちんと話を聞いてみると、海外で日本ブームになっている国が色々とあって、そこで浴衣のセットを販売したら売れるだろう、みたいな考えで弊社にいきつき、どんなものかと連絡をとってきた、ということみたいです。
で、こうゆう問い合わせをしてくる人のほとんどが、浴衣を着ない、もしくは昔一度か二度浴衣を着たことが有る、みたいな感じで、浴衣や着物が好きという事は全く無かったりします。ただ単に商材として海外で売りたい、ということです。
商材としてだけで浴衣を見ているから、浴衣に全く興味がない。自分が着るなんて考えもしない。もしくは上司から言われたからしかたなくやっている、くらいの感じ。
もうね、こちらが真面目に対応しているのが悲しくなるくらい、興味がないのです。
なのではっきりと言いますが、「浴衣を舐めるな!」です。
日本人って、なんだかんだ言っても浴衣や着物の取り扱い方がどうゆうものかわかっています。
「洗濯が大変そう」→クリーニング店に任せれば大丈夫。
「着付けが難しい」→できる人にお願いしよう。
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浴衣に全く馴染みがない国に持っていって、はいこれが浴衣です。色々とセットになっています。と出した場合どうなるのでしょう。
まず着れない。
おはしょりとか、外国の人は説明無しでわかります?
下着はどうするの?素肌にまとったらパンツとか透けてしまいますよ。
第一、ネットや店舗で販売している浴衣セットに腰紐が入っているのをあまり観たことがないです。
腰紐なしでどうやって仮止めするの?
着終わったときの洗濯は?注染だと色落ち・色移りするし、そのまま洗濯機に入れたらボロボロにほつけてきます。
例えばですが、日本のデパートやネットショップのように浴衣セットを海外で販売しました、たくさん売れました、ところがクレームがたくさん来ました。となった時にきちんと対応できますか?販売店として責任取れますか?
商売ですので想定外のリスクは当然。でも想定できるリスクは避けるべきです。
「海外で浴衣セットを売りたい」との問い合わせ全てが、ほとんどとか多くはじゃなくて全てが、価格はいくらですか?です。
話を聞いてみると、ネットとかで3000円とか5000円とかで売られているから、2000円で買えないか、と期待して連絡してきます。
で、できれば日本製の浴衣が良い、とか。
はっきり言わせてもらいますが、「モノ作りを舐めるな!」
生地があって、それを染めて、1枚に仕立てて、で販売価格が2000円。
どれだけ安く作り手を見ているか、です。
「浴衣一枚縫うのにどのくらいかかるかわかりますが?浴衣一枚縫い上げて1000円、そうゆう仕事ってあなたはやりたいですか?」と聴くと、黙ってしまうか電話を切られるかのどちらかです。
弊社は、製造・問屋になります。
なので毎年新しい浴衣を販売します。
昨今、いろいろなものやサービスが値上げとなっています。
当然同じように浴衣も毎年高くなります。
つまり毎年作られる新しい浴衣は、昨年よりも値上がりしているということです。
じゃあ、今実際に店舗やネットで安く売っている浴衣セットはナニ}?
それは在庫品です。
浴衣は腐るものじゃないので、昔大量に買って余った商品を安く販売しているのです。
それこそ、円が100円くらいの時に海外で作った在庫浴衣もあったりします。
売り手側としたら在庫品はとにかく早く売り切りたい、それが激安セット浴衣になります。
先日話をしたお客様。
社長から言われて海外で浴衣セットを販売したいとのこと。
なので上記のような話をして、さてどうしますか?と聞いたのですが、今ひとつ納得していません。
話を聞いていてわかったのですが、ホント浴衣に興味がありません。
社長に言われたから仕方なく弊社に連絡をしたとのこと。
なのでハッキリ言ってあげました。
「今ネットとかで販売している浴衣セットを買い集めてください。その方が問屋で買うよりも安いです。そしてそれを持って売りたい対象の国に行って販売してください。そしてクレームが出てくる前に撤退。一ヶ月だけデパートとかで売るだけ売ってくればよいですよ。
もし長年その国で販売したいのでしたら、着付けができ洗濯やしまい方などあらゆるサポートができる人を常設でそろえてください。」
結局、浴衣とは言え基本的な人の生活「衣食住」の一つである「衣」なのですから、文化背景をしっかりしておかないといけません。
それらをすっ飛ばして販売しても、クレームが山のように来ることになるでしょう。
弊社も浴衣を扱った商売をしているのですから、想定内のリスクはできるだけ避けたいと思っています。
なので販売している会社がきちんとクレーム対応できないところには、弊社は販売したくありません。
ここでふと思ったのですが、着方とか洗濯方法とかそうゆうことをきちんと対応できる会社が荒れば、きっと想像以上に売れるんだろうなぁ。そう、きちんとすれば他がやっていないことですのでビジネスチャンスだったりします。