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きものサローネ 2024

今年も開催されました「きものサローネ」。

カジュアル着物の祭典です。

 

カジュアル着物というか、着物好きあるあるで、とにかくほかの人が着ないもの、派手な着物がたくさんあります。

サローネに来る人も、かなり派手で他所ではあまり見られないような着物を着ている人がたくさん来ます。

 

着物=いろいろと決まりがあって面倒くさい、お金持ちが着る衣服、みたいなイメージが世間的には多いと思いますが、この「きものサローネ」は着物は自由、変な着方してもそれが自分、誰にも何も言わせません、みたいな世間のイメージとはかけ離れた着物の着方を体現しています。

 

 

きものサローネ

毎年通ってしまっているのですが、良し悪しは別として、こんな生地があるんだ、こうゆう着方があるんだ、と毎年驚かされています。

そしてまたそうゆう着物を実際に着てくる人がたくさんいて、生地や帯など単品で見るだけではなく、実際に人が着てどう見えるのかを確かめられるという滅多にない良い機会です。

 

今年気になったのは、米沢木綿の変わり織。

定番の縞柄を織った後に残った残糸を使っていて、それぞれの反物の生産量が非常に少ないというもの。

残り糸を上手に使って廃棄物を出さない、という点と同じものが少ないというプレミア感があり、生地自体も適度な厚みがあって春秋に切るのにちょうどよい感じ。米沢木綿はKIPPEブランドを展開したりと、とても意欲的に新しいものを打ち出し続けていて、勉強になるというか見ているのも楽しい展開です。

 

 

 

数年前から増えてきたのですが、実際に織ったり作ったりしている工場や職人が直接出店しています。

実際に業界を覗いてみると、和装業界はいまだに「価格1番!安くないといけません!」的な風潮があって、良いものを作っても中間問屋ではじかれてしまう場合が多々あるようです。

なので本来の売り方とは違うけど、問屋さんを飛び越えて職人や工場が直接一般の人へ販売するようになっているようです。

うーん・・・本来なら、工場は工場でよいものを作り、それを問屋がきちんと販売するんだけどなぁ。

 

 

色々と考えてしまう部分もありますが、「きものサローネ」は基本的に楽しいイベントです。

製品を見て回るのもよいのですが、ステージを見るのも面白い。

着物DJが出てきてガンガン音楽を流し周りで踊りまくる着物の人たちとか、ファッションショー、盆踊りもありました。

 

また会場のそこここに、芸能人が着た着物の展示や書籍紹介など、とにかく着物にかかわるものがあります。

ぶらぶらとそれらを見ていくもの楽しい時間です。

 

 

 


最近のSNSでは店頭的とは違う着物の着方をしている人の発信も増え、それとともに自由な着物の着方を批判する人の発信も目に付くようになりました。

どんな着物の着方をしようとそれはその人の自由、という見方もある一方、目にしただけで不愉快になるような着方をしていれば批判が出てくるのもしかたありません。

 

世間的には「着物」というと、かしこまったフォーマル的なイメージがありますが、フォーマルではない洋服でいうところのTシャツ的な着物もあり、この「きものサローネ」みたいな気軽に着られる着物がたくさん出てきて着物人口のすそ野が広がることになればよいな、と思います。

着物もTPOがあり、フォーマルな場所に行くときと街中の居酒屋で飲むときの着物は違います。

どうしてもフォーマルなイメージが強いと、街中の居酒屋に行くような着物は批判したくなるのかもしれません。

だからもっと気軽に着物を着る人が増えたほうが、着物のイメージ的には良いのだろうと思っています。

 

あと、着物を着る人が増えれば、変なデザインや柄の浴衣とかが駆逐されるようになるはず・・・。当然旅館浴衣だってもっと良いデザインの浴衣が作れるはず・・・。そんなことも思ったりしています。