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旅館浴衣 小巾と二巾のデザイン

旅館浴衣に使われる生地には、「小巾」生地と広巾生地(二巾、三巾)生地があります。

小巾生地は、約36cm巾です。これが基本となり、その二倍の巾が二巾、三倍の生地が三巾となります。

分け方とすると、小巾とそれ以外の巾=広巾、となります。

 

どう違うのかというと、小巾の場合は横に2つ並べて浴衣の身ごろを作りますが、並べずに身ごろができます。

よく分かるのは背中の部分で、背縫いがあるのが「小巾」。背縫いがないのが「広巾」になります。

 

 

旅館浴衣 広幅
広巾生地使用の浴衣
旅館浴衣 小巾
小巾生地使用の浴衣

浴衣は縫い目が骨に相当し、背縫いがあることできれいに見えます。

また小巾のほうが生地的に安く、そのため浴衣自体の単価も安くできます。

 

じゃあなんで広巾の生地で浴衣を作るの?というと、小巾は生産量が少ないため定期的に生地を確保していないと手ぬ入りにくいということがあります。

だいたいですが、月600反定期的に購入、というパターンが多かったりします。

ただそれほど浴衣を作らないトコロですと、小巾生地を使いたくても使えない場合が出てきます。

広巾生地はある程度生産量が多いため、じゃあ広巾で作ろうが、ということになります。

 

先に上げた「縫い目が骨に相当する」という点からみると、広巾生地の浴衣はどうしてもだらしなくなっってしまくぃます。

ただそう言うと浴衣の注文が取れなくなるため、「背縫いがあると寝ている時にゴロゴロする」とか「背縫いがあるとそこからほつれてくる」と言ったデマが出てきたりもします。

 

 

ただ、背縫いがないということを利点として捉えた場合、背中いっぱいの大きな柄が出来るということから、あえて広巾生地を使う場合もあります。

 

 

旅館浴衣は大量生産品であり、まとめてパーツを生地から切り出し、それを無作為に縫い合わせていくので、縫い目部分で柄が繋がらないというのは普通にあることです。

だから安く出来るということもあるのですが、広巾で作る場合は一番広い面積になる背中部分だけでも柄がそろえることができる、というメリットがあります。

 

 

広巾生地を選んで使う場合、やっぱり多いのはデザイン的な観点が大きいのかと思われます。

あとは、化繊混紡生地は広巾生地しか無いので、生地質から選ぶということでしょうか。

 

書き忘れないように、書き忘れないように。

デザイン的に広巾は大きなデザインが出来ると書きましたが、人の背中は約40cm位しかありません。

旅館浴衣の巾は、約68cm。幅いっぱいに大きなデザインにしても、端のところは見えなくなる可能性があります。

さらに生地幅いっぱいにデザイン描いた場合、本当の端部分は縫い目になりますので、これまた見えなくなります。

それを踏まえたうえで大きなデザインにすることが大切です。

 

あと細かい話ですが、旅館浴衣のプリントには「ロータリースクリーン」と「金属ロール」の2つがあり、広巾生地をプリントするには「リータリースクリーン」でないと均等にきれいに染められない、ということもあります。
広巾用の金属ロールもありますが、とても重いため型の破損の可能性もあるし、生地に押し付ける時の圧力がなかなか難しいと聞いたこともあります。

 

上記を踏まえたうえで、広巾生地でオリジナルデザインの浴衣を作りたい場合は、弊社までご相談ください。