先日、「浴衣のかわいい柄の生地を分けてほしい」と問い合わせをいただきましたが、浴衣の在庫生地は白生地しかありません。
柄を付けてその生地を在庫している、ということはありません。
確かに本仕立て用の注染染めの生地は反物として在庫されていますが、これはそのまま販売されるもので、それを仕立てて出荷するというものではありません。
弊社で浴衣の注文をいただいた場合、その浴衣に合わせて白生地を購入し、例えば注染そめの本したての浴衣なら「特岡生地」、旅館浴衣だったら「別岡生地」。この生地を染工場、もしくはプリント工場に入れて柄を付けます。
元々の生地が白いからそこにオリジナルデザインの柄が乗せられるわけで、最初から柄がついていればオリジナルにはなりません。
また白い生地だから在庫をしていても色々なご希望に無駄なく添えられるわけで、無駄なくできるということはそれだけコストも下げられるわけです。
と書くと、なぜコストが下がるの?という方もいらっしゃるので。
生地を在庫していれば「金利」や「保管料」がかかります。すぐに売れてしまえばそれはかかりません。
なのでお客様の色々な希望に対応できるよう、それで早く販売できるように白生地で在庫しています。
もし特定の柄を付けてしまうと、その柄がお客様の希望に合わうまで在庫となってしまいます。
長期間在庫となると生地や柄の劣化が出てきますので、さらに売れる機会は減ります。
というわけで、白生地で在庫しているのはコスト削減になるわけです。
その白生地にお客様から注文があった際に、その希望に合わせてプリントだったり注染染めだったりと生地に柄を付けていきます。
生地に柄をつけるのはいろいろな方法があります。
上記の写真は、ロータリースクリーンプリント(顔料プリント)ですが、他にも金属ローラーだったりフラットスクリーンといった機械を使ったプリントもあれば、手で擦る手捺染もあり、染料を使う場合は注染だったり染料プリントだったりもあります。
今流行りは「インクジェットプリント」もあります。
どの方法が良いのかということはありません。使う目的などで最適なものを提案しています。
また、抽選の場合とプリントの場合それぞれで適した生地があります。
特に旅館浴衣用の生地は特殊です。
もし柄や色を先につけて在庫しておくなんて事になったら、それこそ膨大な量が必要となります。
膨大な量となれば、それにかかるコストを生地代に乗せなければいけません。
となると生地自体の価格も上り、お客様的にもよくありません。
色々なことを館g萎えた結果、白生地での在庫が一番良いこととなります。