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化繊混紡の作り方

化繊混紡とは、天然素材と化繊素材が混ざっているということ。

正直、なんとなく「ああ、化学繊維が混ざっている生地なんだな。」くらいの認識だと思いますが、じゃあ生地の構造上化繊糸と天然素材糸(木綿とかウールとか)が使われて織られている・・・例えば、経糸が化繊で横糸が木綿、みたいな事なのかな、みたいな認識だったりします。

というか、「化繊混紡?!ああそう、でそれは高いの?安いの?」みたいなところばかり気になったりします。

 

でもきちんと知らないといけません。

自分が扱っている商品のことなのですから、正しい知識は必要です。

 

 

化繊混紡と言っても、色々な形態があると思います。

先に挙げたように、経糸と緯糸の種類を変えて織る場合もあります。

でも上記の写真のように、混紡率が違う場合はどうやって作るのでしょう。

 

 

先日、着物のイベントで名古屋にある「トヨタ産業技術記念館」に行ってきました。

この記念館は前半は繊維関係(豊田自動織機)のブースで、後半は自動車製造関連の展示となっています。

前半の繊維関係は、置かれている機械が動態展示であり、実際に動かして見せてくれます。

 

で、紡績のブースにて。

最初は綿の塊があり、それを鋭い鉄の櫛の歯に何度も通すことにより繊維が同じ方向に揃えられていきます。

 

 

上記の写真の綿の紐(オレンジ色の筒の中に入っているもの、これは木綿なのですが、これだけでは撚りをかけてルト糸の太さにはたりなくなりますし、強度も不足するため、同じ綿の紐を何本か合わせていきます。

で、その何本か紐を合わせる時に、化繊を混ぜ込んでいくのです。

 

 

写真は奥から伸びた紐が一つにまとめられ、手前の容器に収束している様子です。

 

だいたい6本の紐を合わせるとのこと。

で、木綿や天然繊維は収縮率が化繊よりも大きいため、その分を加減しながら混ぜていくそうです。

ここで、浴衣生地によく使われる「TC30/70」の糸が作られるわけです。

 

ただこのままではまだ紐の状態です。

撚りをかけて細く伸ばして、実際に生地を織るときの糸に仕上げていきます。

 

 

 

上記の写真が「リング紡績」と呼ばれる紡績機です。

この紡績機で、20番手とか30番手の糸が作られます。

リング紡績で作られた糸はとt萌強く、高速織機にも対応できます。

 

 

あまり知られていないことですが、手紡ぎとかガラ紡とかで作られた糸は生産性が悪く、また高速織機にかけると強度が足らないために織ることができません。そうなると生産性が上がらないため、生地単価が高くなります。

このリング紡績のおかげて、安価に服着ることができているわけです。

 

で、化繊混紡について、この糸になる一歩前の紐のときの混ぜ方で混紡率が変わってくるわけです。

混紡された糸を使い、その後のリング紡績で糸の太さを揃えて、その糸で平織りだったりブロードだったりと生地を織るわけです。

実は個人的にもとてもスッキリした経験でした。

 

このトヨタ産業技術記念館、行くたびに知識の量が増えていくのでオススメです。